「道具でいい」
そう断言してしまう彼女をどう扱うべきなのか戸惑う時がある。
別に道具だなんて思ってないし、拾ったこともここまで時間を共にしたことも後悔ひとつしていない。
でも彼女は自分を顧みない。僕に全てを捧げていいとすら言う。これはもはや信仰的な感情に近いんじゃないかとすら思う。
たしかに当時の僕は不器用だったし愛情の注ぎ方なんてわからなかったけど…。
別に道具だなんて言ったことも便利な存在として扱ったこともない。
ただ、生活に必要な衣食住を与えてたまに面倒を見てやっただけ。愛情…というと臭いかもしれないが彼女に対して情を感じていたことに間違いはない。
育て方を間違えたかな。
なんて言葉を漏らせば、「お前は育ててないだろ」と恵にも硝子にも、なんなら七海にも突っ込まれた。
「き〜のか!僕のこと好き?」
「時々好き」
「時々!?」
僕さえいれば他はいらないなんて、道具でいいなんて言わせてしまう、それを言うことを許してしまった自分が今は少しだけ許せない。
きっと僕の抱える大事なもののひとつにならないようにと自分で線引きをしているのかもしれない。
でも、僕にとって紀之加は、初めて会った時から時からずっと、大事なものだったよ。って言っても信じてもらえないだろうけど。
「僕は毎秒好きなのにな〜、傷ついちゃった〜」
僕はずっと、この気持ちの伝え方を探してる。
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