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「約束して欲しいんやここが出ることは絶対にしないでくれ。」
トントンは辛そうな顔をしている。
なんでそんなに辛い顔をしているのかわからないけども何故か辛そうな顔をしているのだけはわかった。
「大丈夫だよ。トントン…私は平気だよ。」
なんて言うと心配そうにトントンは出ていく。そんなにも辛そうな顔をして出ていくなんて余程の事があるんだろうけども私には一切教えてくれない。
そんな事を考えているせいなのかそれとも埋めることも出来ない心はいつも寂しいと言っている。我が儘を言いたくても言ったらきっと捨てられてしまうから。
今日もだた、寂しい気持ちを溜め込みながらソファーでうとうととしていると睡魔に襲われて無意識の内に眠りに着いてしまう。
何時間寝ていたのだろうか鉄の錆びた匂いが鼻に入って来て私は目を覚ます。体を起こして周りをキョロキョロとすると真っ黒なスーツを着ていているが中に着ているカッターシャツは赤色の何かが…染み付いている。
「トントン…帰ってきていたの…」
「今、帰ってきたとこやで。起こしてしまってごめんな。」
「う、うん。大丈夫だよ。怪我していない?」
なんて聞くとトントンは優しく私の頬に触れては撫でてくれる。彼の見つめる瞳はとても優しい瞳をしている。
「怪我とかしてないで。心配かけてすまんな。」
「謝らないで。私が勝手に心配しているだけだから。安心して…今日もちゃんと約束守ったよ。」
空っぽの心が少しで埋めるように…
トントンに褒められるように…
だから、本当の言の葉は隠すしか無いなと思ってしまう。
「偉いな。ほんまに偉いな…」
とトントンに言われてる。
私はトントンの求める彼女になる為には仕方なかった。これが自分であって自分では無いと思い聞かすしか無かった。
「ありがとう」
といえばトントンはいつも通りにニッコリと微笑んで私を強く抱擁をしてくれる。彼の温もりは私の心も身体も温めてくれる。
「今日はお前が好きなオムライスを作るで」
と言ってトントンは部屋から出て行く。私は深呼吸をして力が抜けたのか膝から落ちてしまう。先程まで優しい温もりもらっていたがやはり、彼が怖いのはいつだって変わらない。
トントンの作るご飯は美味しいだけども彼の言葉はとても苦しいものである。
「お母さんのオムライスが食べたいな」
昔にお母さんが作ってくれたオムライスを思い出しながら床に寝っ転がりながら思い出す。
足についているじゃらじゃらとした金属が私をこの檻から出してくれないのだ。
「どんな風に愛されても何があっても伝えないと」
と決心をした時だった扉を開いた音がした。
「…トン…トン…」
扉の方を向けばナイフを片手に持ったトントンがやって来た。
「俺はお前のことが大好きやで」
と言って私に迫ってくる。
「お前は俺の事を愛してくれるやろ?」
と一歩、また一歩。
近づいてくる。
「安心してや。俺はお前のこと守るから」
とその一言を聞いて私は意識を失った。
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