兄弟が羨ましい一人娘と三ツ谷
公園の前を通りかかると、小さい子たちの賑やかな声が聞こえてきた。
最近の子はゲームばっかりで外で遊ばない、なんて世間では言われ始めているが、外遊びが好きな子は外で遊んでいるし、そんなことないのではないかと思っている。そもそも、少子化が進んでいるのだから、ただ単に子どもの数が少ないというだけでは?というのが私の見解である。最近社会の授業で教わった(というか先生が呟いていた)範囲だ。
公園のベンチでソーイングセットを広げて綺麗な生地に刺繍をしている男の子がいた。
私が知っている限り、渋谷第二中学校校区で、手芸を嗜む男の子なんて、1人しか知らない。
「あれ?三ツ谷くん?」
「ん?おー、如月さん」
奇遇だな、なんて、人好きのする笑顔で微笑まれる。
「美人!」
「おねーちゃん、美人!」
「えっ」
美人とは、私のことだろうか。
でも女の子の指先はしっかり私を指し示している。
「あ、おい、こら、まずはご挨拶からだろ。それから人に指差すな、失礼だ。」
「「こんにちは」」
「はい、こんにちは」
声を揃えて挨拶をする可愛い妹たちと、お兄ちゃんの役目をしっかり果たしている三ツ谷くんがなんだかおかしくて、思わず笑いが漏れてしまう。そんな私に気付いてか、右のこめかみをポリポリ掻いて、居心地悪そうにしている三ツ谷くんに、また笑ってしまった。
「兄弟いるって、羨ましいな」
「そうか?楽しい時もあるけど、基本うるさいだけだぞ」
「けど、寂しくないでしょ?」
「1人の方が楽そうだけどな」
「お互い、ないものねだりだね」
「だな」