「はぁはぁ、ケホケホ」
「おやおや、とても可愛く鳴いたからですな。冷たい紅茶をこの哀牙がお持ちいたしましょう」
ベッドから出た哀牙さんを咳き込みながら目線で追い掛ける。
(持ってくる……?どこから……?)
哀牙さんはドアの前にしゃがみ、何かをしている。ここからだとちょうど見えない。
何かを終えた哀牙さんは立ち上がり、ドアを開けた。
「え!!!!!なんで!!!!ケホケホ!!!!」
開いたドアの先は哀牙さんの事務所だった。
つまりここは哀牙さんの仮眠室だったのだ。
「あいや、急に叫ぶからですぞ」
給湯室から持ってきたであろう、冷たい紅茶を私に差し出す哀牙さん。
「美味しい……じゃなくてどういうことなんですか!!」
「ズヴァリ!美しき華麗なる作戦を知りたいと!」
「やかましいわ!」
思わず枕を投げるが、呆気なく受け取られる。
(くっ!ほんと肉体派!)
悔しがる私に哀牙さんが説明をする。相変わらず遠回しなので要約すると、
事務所に戻ると居眠りしている私
↓
起こそうと思ったが、ぐっすり寝てるので仮眠室に私を運ぶ。
↓
紅茶セットも持ち込み、本を読んでいたが読み切ってしまったので次の本を取りに行こうとした時にドアが開かないことに気付く。
色々試したが開かず。そこで閃き、イタズラで紙にあの文字を書いて壁に貼ったと。
実はその時点で、ドアの下の隙間を確認してないことに気付いたが私が起きたのでそのまま……。
「え、じゃあまだ1つ試してないって、ドア下の隙間の確認って事?」
「いやはや、我ながら天才!」
「でもあの時トリックがあるって紙を指さしたじゃないですか!」
「我はポーズを取っただけですぞ」
「そんな屁理屈な!!ああ、調子が狂っていく……」
これ以上言う気になれず、またベッドに倒れ込む。腰も痛いし、頭が回らない。
「まぁこんな事をしなくとも、龍殿とは愛し合う気でしたからな」
(またとんでもない爆弾発言をこの探偵は……!)
「……というか、普通に誘ってくれればいいのに」
「やあれ!言質は取りましたぞ!!」
めちゃくちゃ小さい声で言ったはずだが、この探偵は地獄耳だった。
哀牙さんは私に覆いかぶさり。
「龍殿、また我と愛を誓い合いましょうぞ!」
「もう無理ぃいいい」
〜END〜