prologue
- ――時は西暦1500年頃。俗に言う大航海時代。まだ「世界が平らだ」という説が一般的だったころの世界の話だ。とある遺跡から、古びた「本」が何冊か出てくるまでは。
古代に惹かれる者たちはそれをこぞって研究し、そして揃って首を傾げた。中には「お手上げだ」と匙を投げる者も出た。それもそのはず。なぜなら、その「本」に書かれていた技術や知識、その全てが――
――"未来のもの" だったからだ。
この「大航海時代」は "二度目"の大航海時代。この世界全てが 、"二度目"の歴史を刻んでいた。彼らが手放した「本」たちの一部は、物好きな好事家や商会に高値で買い取られていった。
ポルトガルのリスボンに居を構える「ルイス商会」も、本を買いとったうちのひとつだった。……もっとも、今まさに売られようとしているが。
「ルイス商会」は、これまで塩のみの貿易で利益を上げてきた商会だったが、各地からいろんな産物や貿易品が出るようになってからその売上は右肩下がりだった。商会長は「本」が高値で売れると聞くやいなや、すごい勢いで書斎から取り出した。
この時代のものとは思えないほど、綺麗な装丁の「本」に興味を惹かれた商会長の娘は、父親に無理を言って読ませてもらうことにした。やがて、この商会を立て直す手立てを、その「本」から見つけるのだった。
「――お父様! あいどる、よ! あいどる!」