[No.1] xx
小さな花弁が舞って、見上げれば新しい学校が見える
「 緊張、する‥ 」
小声であたしは呟く。
あたしは 兎朶宮 流奈、
この学校へ通うことになった
あえて実家から凄く離れてる学校へ来た
まあ、その親と離れたいって言うのもあったんだけどね
そんなことを1人でごちゃごちゃと考えていたら
後ろからくすくすと笑われる
振り返れば、幼馴染の来斗がいた。
「 大丈夫だよ 」
と微笑みながらあたしに言ってくる
「 ‥ま、まさか本当にあんたと同じ高校になるなんて 」
そう、コイツと同じ高校に行くことになった
幼馴染ってこともあって良く一緒にいる
正直コイツと一緒にいるの飽きたかも、
「 やった、俺は嬉しいよ 」
なんてまたくすりと笑いながら彼は言う。
本当、何が面白いんだろう。
あたしは小さく溜息を吐けば、
「 じゃあ、さっさと新しいクラスに行くよ 」
そう告げれば、学校へ向かってまた足を進める
後ろの方では「 待ってよぉ! 」なんて声が聞こえるけど無視無視、
さて、この新しい学校で何が起こるかな。
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長い校長先生の話も終わり、クラス発表もされた。
今は放課後 帰る準備をしていたら
いきなり教室のドアが思いきって開く
「 やっふぉぉぉぉぉぉぉっ!! 」
思いっきりドアを開けた女子がいきなり声を上げた。
なになに、この学校なに?怖い。
隣にいた来斗も驚いた表情をしていた、そりゃそうだろう。
「 って、あれ?君たちだけ? 」
ベージュ色のカーディガンを身に付けた女子は、
あたしと来斗の方へ近づきそう言った。
「 そうだけど。他の人は帰ったよ 」
質問されたからあたしは返した。
隣にいた来斗は何も言わずに、うんうんと言った様に頷いてる
いや、何か喋ろよ。
「 そっかー、実はさ うち校長先生に新一年生を
学校の案内しろって言われてたんだけど。
すっかり、忘れちゃってさー。 」
あはは、なんて言いながら笑う。
いや、忘れちゃってさーじゃねえよ。
「 馬鹿ですか、てか貴方誰 」
そう、まずあんた誰。
いきなり教室開けられたと思ったら叫ぶし話しかけられるし、
‥ちょっと、この学校怖い。
「 あ?うち? 挨拶遅れたね、ごめんごめん 」
そう言ってあたしたちに少し近づいてくる。
「 遊生 楪那。生徒会の副会長やってる、宜しくね! 」
にこにこと微笑みながら、あたしたちに言う。
「 あたし兎朶宮 流奈、そっちは来斗って言うの 」
隣にいる来斗を指差す
来斗はうんうんと頷いている。
てか、喋れって。
「 流奈と来斗ね!どうする?2人だけでも案内しよっか? 」
彼女は小さく首を傾げながら聞く。
「 いえ、それは明日で大丈夫 」
そんなことを言っていると隣から
えーっ?なんでー?と聞こえるが無視無視、
「 そう?じゃあ君たちはこれから帰るんだね! 」
納得したかの様に問いかけてくる
「 うん 取り敢えず、あんた生徒会の人でしょ?聞きたいことあるんだけど 」
ここらへんに女子寮ってない?と、聞く。
私は実家から離れてこの学校に来たから、
まだ住む家は無く まずは女子寮に泊まらせて貰うと言うことになった。
「 ‥ん?もしかして君、今日泊まりに来る子? 」
じーっとあたしを見詰めながら聞いてきた
あたしは うん、と軽く返事をする。
「 あーっ、君だったんだ!なら案内するよ! 」
実はうちも女子寮に住んでるんだよね。と答える
嘘、あたしこれからこの人と同じ寮で住むことになんの
‥絶対大変そう。
そんなことを頭の中で考えていたら 来斗が
「 じゃあ、俺男じゃねえし、先に帰ってるわ 」
なんて言ってあたしに手を振って教室を後にする
そしたら楪那があたしの隣に来て 耳元で、
「 ‥あの子、男だったんだ‥ 」
なんで言ってくる。
‥‥いや、確かに女に見えなくも無いけど、
コイツ失礼すぎるだろ。
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2人は学校を後にし、女子寮へ向かう。
空はもうオレンジ色に染まってて、夕日が沈む。
それでも尚、桜の花弁はひらひらと舞っていて綺麗だ。
10分も歩いていたら寮が見えてくる。
「 着いたよ!ここだよ! 」
そこの寮は意外と大きく、流石女子寮だと思う。
楪那の話を聞けばここは2階建てらしい。
1階は食堂などお風呂などがあった。
2階はあたしたちの別々の部屋が用意されてるらしい。
「 はい、流奈の部屋は此処ね! 」
204号室と書かれた扉。
「 あっ、ありがとう 」
扉を開いてみると意外にも広くて吃驚した。
「 意外と広いでしょ?それにベットとか色々付いてるし! 」
ふっふーん、と言ったように自慢気に言ってくる
いや、別にあんたがここ作った訳じゃないだろ。
「 うちの部屋は流奈の部屋から遠いけど206号室ね! 」
良かったら、遊びに来てね!なんて嬉しそうに笑う。
「 あー、後で行ってみる 」
分かった!じゃあ、うちは部屋に戻るね!なんて言って
あたしの部屋を後にしようとしたが
あっ!と何かを思い出したかの様に振り向いてあたしの方へ向く。
「 隣の203号室、一応人いるから挨拶してみな? 」
良い子だから。と言ってあたしの部屋から出る。
隣に誰か人住んでるんだ。
確かに挨拶ぐらいはしてみようかな
あたしは自分の部屋から出ると隣の203号室の扉の前へ立つ
そこには「流雨の部屋」って可愛らしく書いてあった。
取り敢えず、ノックしてみよう。
とんとん、と2回ドアを叩く。
少し待っていたらガチャとドアが開く
「 あっ、どうも あたし隣に越した____ 」
話している途中でバタッとドアを閉められる
えっ、あたし何かした?えっ?
突然のことに驚きぼーっとしていたら
隣からくすくすと笑い声が聞こえてくる
ちらっと笑い声がする方を見ると楪那が立っていた
「 ねえ、これどうゆう意味 」
まだ笑ってる楪那に問いかける
「 えっ?あぁ、その子凄く人見知りでさ 最初はこうなんだよ 」
なんて言ってくる
こんなにも人見知りの人いるの。
まあ、直ぐに仲良くなれるさ!と、ぐっと親指を立てられる
いや、ちょっと‥どうにかしてくれないんですか。
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