「よっ!久しぶりだな!」

「出たな、金髪美人を誑かした年齢詐欺刑事め!」

「ひでぇなぁ。ほれ、そんな金髪美人の奥さんからの差し入れだ」

「ナタリーさんから?!きゃー!有難う!!早く電話繋いでください!ナタリーさんにお礼いわなきゃ!あぁ、もうなんでこの店って支店がないんだろう!」

「支店出す気ねぇくせにな…つーかこの扱いの差…あいつらが溜息つくのも分かるぜ」

「何か言いました?苦い珈琲をご所望なら深煎りを用意してさし上げますよ」

「いや、いつもので。まあ、ナタリーも近々こっち来るっつってたから礼はその時してやんな」

「まだ別居婚なの?いくらなんでも待たせすぎじゃない?」

「あー…まあ、あいつや向こうの両親も納得はしてくれてるからな」

「ふーん…警察官の国際結婚って想像以上に面倒なんだね」

「どんな想像してたんだ、お前」

「ビビっときたらバッとしてバビューンってゴールインするかと」

「お前のそれ日本語なのか?」

「何事も想像大事。ナタリーさんは相変わらず?寂しがってない?私に英語教えてくれないかな…」

「あぁ、元気そうだ。まあ画面越しとはいえ毎日会えるから別に苦じゃねえよ。お前の英語力は壊滅的だから諦めろ」

「そりゃあ男はそうでしょうけども。ん?馬鹿にしてるんスか?最近ではこの喫茶店も国際化してるんですよ」

「まじか…お前の英語通じんの?」

「伊達さんに言われたくない。パッションで9割なんとかなります」

「そうか、客は全員日本語話せんだな。良かったじゃねぇか」

「貶されてる気しかしない…!何でこんなデリカシーのない伊達さんと結婚したんだろうね、ナタリーさん」

「俺が頼りになるから?強い奴が好きって言ってたしな」

「はいはい、ご馳走様です。確かに伊達さん殺しても死ななさそうだもんね、頑丈そう」

「まぁ怪我の治りは早いな」

「馬鹿なの?主食ボンドなの?」

「どっかの漫画ネタ止めろ」

「はい、コロンビア スプレモ」

「お前って口は悪いが珈琲は一級品なんだよな」

「貶してる?処す?処す?」

「褒めてる褒めてる」

「ほんとかなー。そういや、伊達さんって今何してんの?後輩を名乗る男性が探してたよ」

「あー…高木か?」

「名前は分かんないけど、あのほら…えーと…伊達さんが私に轢かれそうになった時の人…?親切かつ貧弱そうな優男」

「曖昧なのにその言われよう…まあ高木だな」

「じゃあタッキーで。タッキー心配してたよ〜連絡取れないって。本人は喫茶店に来てるのに本庁で会わないなんて不思議だね」

「あー…何だ、今はほら高木も別部署だからな。俺が居なくてもちゃんと仕事が出来るように鍛えてやったから大丈夫だろ」

「可愛い子には旅をさせちゃうのね。そういえばこの前送ってくれたチーズが絶品でした!また送れください」

「ははっ!そーかそーか。じゃあまた送ってやるよ」

「やったね!」

「つーかまさかお前がうちの生乳仕入れてるとは思わなかったな」

「え?生乳?うちの?」

「あ…忘れろ、今の」

「…やっばい、察し。伊達さんってば今の仕事って…」

「チーズ大量に送ってやるから忘れてくれ…色々バレるとまずい」

「プレミアムものを期待してます」

「交渉成立だな。じゃあ俺が来たこともいつも通り内密にしとけ」

「なんでこのお店は後ろ暗い常連が多いのかなあ」

「お前がトラブルホイホイだからだろ」

「おい、どういう意味だこら」





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