平和に行きましょう。


 酷い頭痛で目が覚めた。当然気分は地の底を這うように悪い。
「酷い顔。悪い夢でも見ましたか?」
「……君がいる以上の悪い夢はそうないさ」
 左右対称の端正な顔がゆるゆると微笑む。あぁ、温い顔だ。反吐が出る程この娘はこちらの意志など介さない。
 心地良さのある冷たい指先が汗の跡を辿るように滑る。輪郭をなぞり、顎先に触れる。そこから下って、喉に。









































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