個人授業
プロローグ

きっかけはとあるゲイ専用の出会い系サイトの掲示板だった。
そのサイトは個人運営の無料サイトだということもあり、性別は勿論男だけだが、年齢は問わず、様々な年代の同性愛者が利用している。

大地はもっぱらROM専だったが、足しげくそのサイトに通っていた。
周りには自分と同じ同性愛者の人間がおらず、不毛な恋しかできなかったからだ。
自分だって誰かと恋をして、幸せになりたい。
何よりセックスもしてみたい。

ただ、大地はまだ高校に入学したばかりで、最後の一歩が踏み出せないでいた。
何度も書き込みフォームを開いては、ブラウザバックで戻り、再度掲示板を隈なく見ることを繰り返していた。

大地が目覚めたきっかけは、大地が保育園児だった頃にまでさかのぼる。
当時まだ四つの幼児だった大地には好きな先生がいて、その保育士は二十歳を過ぎたばかりの男で、女の子には見向きもしないで男の子ばかりを可愛がっていた。

唇へのキスこそなかったが、頬にキスされるのは日常茶飯事だ。
空き教室で二人切りになると、男は大地を抱きしめて体中を撫で回す。
特に二個の玉をやわやわと揉まれると幼心にも酷く興奮したものだ。
大地は男に性器や乳首を吸われながら、尻の穴を弄られるのが好きだった。

きっとこれで目覚めてしまったんだと思う。
その男は夏休みが終わると急にいなくなってしまったが、最後まで大地がその理由を知ることはなかった。

それはともかく、サイトに通い詰めて一ヶ月目のある日。
大地は勇気を振り絞って掲示板に書き込みをした。
誰かに初めてを貰って欲しくて。

『DK1です。僕の初めて貰ってください。サポなしでOK』

会話の流れをぶった切るように、メールアドレスを入れてそう書き込んだ。
そのスレッドは荒れに荒れてしまったが、たくさんの男から連絡が来た。
その中で大地の目に留まったのは高校教師だという男だった。
実は大地は数学教師に片思いをしていて、その教師に抱かれている想像をしながら初体験を済ますつもりだったのだ。

スレッドが消される前に、なんとか男と連絡をとることに成功した。
待ち合わせ場所は大地の高校の最寄駅のホーム。
滅多に人が乗り降りしない時間帯を選んだ。
都内とは言え大地が住んでいるところは結構な田舎で、その無人駅にまで男が迎えに来てくれた。

列車のドアが開き、列車を降りようとした男が目を見開く。

「……夏木?」
「――っっ」

大地の目の前の男は、大地が片思いしている数学教師の望月だった。

 夏木Side(受)
 望月Side(攻)
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