あなたへ

初めに。この手紙は君が帰って来た時のために用意しました。
きっと俺に会うことはもうないだろうから、ひとまず友人に預けてあります。
俺の知る中で一番に几帳面な奴なので、きっと渡すと思うんだけど……。
(バレちゃった? きっと、予想どおりだったと思う。)

俺は松田と一緒に、言っていた通り機動隊に配属されたよ。
ひたすらに寮生活が苦しすぎる。ムサ苦しいのなんのってないのさ。
綺麗な部屋が恋しいよ。


さあ、なんで手紙を書いたかって言うと、一言だけ言いたいことがあったから!
きっと想像がついていると思うけどね。

俺の勝ち!

だろ? だから言ったのに。君は頑固だから。
大丈夫。これからも、ずっと、もう大丈夫だよ。
何をしても、何をしなくても、君のことを好きでいてくれる人はいるからね。
君のご両親も、俺も。君のことが大切だ。
嫌だったら拒んでも良いし、好きなら抱きしめれば良い。
そうやって、心のままに生きてください。

時計は好きにして良いよ。誰かにあげちゃうかなあ。それは寂しいかも。
きっと、自由な君は綺麗だろうな。
俺は【滲んでいて、文字は読み取れない】。ちゃんと温かくして寝るんだよ。

萩原研二