好奇心で人を刺す話
※独白のみ
「クリームシチューを作るとき、最初に鶏肉をフォークで刺しておくんです。味が染みやすくなるように。だから昨日クリームシチューを作ろうとしたときもフォークを刺したんです。美味しくなるように、って思いながらただただ鶏肉にフォークを突き刺し続けました。その時、ふと頭に浮かんだんです。人を刺すってどんな感覚なんだろうって。一回疑問に思ってしまったら気になって気になって仕方なくて、夕飯の準備なんか手に付かなくなって…。だから戸棚からアイスピックをとりだして、それを持って外に出たんです。そして私の住んでいるアパートの目の前の道でじっと誰かが通るのを待っていました。そのままどれくらい経ったのか分かりません、誰も通らずそろそろ帰ろうかと思った時です、スーツ姿の女性が一人、歩いて来たんです。興奮して飛び出しそうになるのを必死で抑えて、背後からゆっくり近づいていきました。アイスピックをしっかり握って少しだけ足を速め、背中にアイスピックを刺しました。最初に皮膚を破る薄い感触があって、多分骨だと思います、すぐに何か固いものにぶつかる感覚がありました。だから少しだけ先の位置を変えてそのまま押し込み続けました。そしたら鶏肉なんかじゃ堪能できない、アイスピックが肉と肉を分けていくとても気持ち悪い感触が襲ってきました。体の奥からぞわぞわと興奮のような、嫌悪のような、訳のわからない感情が身体中を駆け巡りました。いきなり刺されたりしてすごく痛かっただろうとは思います。あの時は人を刺す事を感じる事に精一杯で何も聞こえませんでしたけどきっと彼女は悲痛の叫びをあげていたはずです。そうじゃないとあんなに人は集まらないだろうし、あなた方警察だって呼ばれてないはずです。
でも私実は取調室がどんな造りになっているかも気になっていたんですよ。だからとても嬉しいんです。人を刺す感覚もわかったし容疑者として取調室に入れたし。
だから私は何も後悔してませんよ?」
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