とある国王の話



【不老不死の国王の話】

私は学校が嫌いです。学校の授業が嫌いです。別に勉強が出来ないわけではありません、クラスではいつでも上位の成績です。

算数でも国語でも、すべての先生は自分が正しいとばかりに話します。それが嫌いなのです。
例えばこの間、先生がお話されたとある国の歴史についての物語です。


***

昔とあるところに小さな国がありました。科学技術はそれほど成長していませんが、豊かな自然に囲まれた穏やかな国でした。そんな素敵な国の王様はこれまたとても素敵な人でした。
毎日国民のことを考え、国民の話を聞いて、ほかの国の王様には思いつかないような国民の立場に立った政治を行いました。
国民は王様をとても慕いました。

ある日王様は病気になってしまいました。隣の国へ出かけたとき、病気にかかってしまったのです。それから王様はお城にこもるようになりました。

しばらくたって王様は国民全員をその国で一番大きな建物へと呼びました。それは国で一番古い教会でした。

国民全員が集まったところで王様が祭壇の前に立ちました。やせ細り、前より一回り小さく見えるその姿に国民は悲しみます。王様は自分のために集まってくれた国民を微笑みながら見渡し、話を始めました。

「皆、私のために集まってくれてありがとう。」
「病気の進行が早く、生きていられるのもあと数日となってしまった」
「だから残りわずかな時間を皆と共に過ごしたいと思ってここに呼び集めたんだ」

そう言うと王様は手を挙げ、その手にあった何かを握りました。けれど国民は皆泣いていて、王様の行動に疑問を持った人はいませんでした。すすり泣く人、むせび泣く人、教会に泣き声がこだまします。

がたん、

一人の子供がひざから崩れるように倒れました。母親である女性が起こそうとして子供の顔を見ると、口から泡を吹き、苦しそうに首を押さえていました。母親は驚き、悲鳴をあげました。そばに居た人達は母親の様子に気づき母親の周りに集まってきました。そして子供を見て困惑しました。その間にも他の場所から誰かが倒れる音が聞こえてきます。教会の中は困惑する国民の声で溢れかえります。外へ脱出しようと試みても、何故かドアは開きません。国民は王様に助けを求めました。しかし王様の言葉に国民は全てを悟りました。

「残りわずかな時間を皆で過ごしたいと、私はいったはずだよ」

そのまま毒ガスによって王様も国民も皆息絶えてしまいました。

***


けれど私は知っています。このお話は嘘だと。王様は実は偽物で、国を治めることに飽きた本物の王様の謀りによって死んでしまったのです。

国を治めていたのはもっと若い、一人の少女でした。けれど王族でもない少女が国を治めるのは難しいことです。だから少女は一人の男を王様役にしました。それがこの話の王様です。男は少女を好いていて、なんでも言うことを聞きました。
何十年かたって少女は国を治めることに飽きてきました。そんな時に男が病気にかかり、物語のような方法を思いついたのです。少女はこっそりと教会の天井に毒ガスの詰まった装置を取り付け、装置のスイッチを男に渡して言いました。「国民全員を一番古い教会に集めて、そこでこのスイッチを押しなさい」と。
男は理由も聞かず頷きました。そして物語にある事件が起こってしまったのです。

そしてその少女はまだ生きていて、今は別の国のとある家の家族として、通う必要もない学校へと通っているのです。
学校が大嫌いと言いながら。