花宮くんと彼女さん
探してほしい本がある。
そうして大きな本屋の一角を1人さ迷っていると、くいくい、くいくいと何度もブレザーの裾を引っ張られる。
振り返るとそこにはさっき別れたばかりの#名前#の姿。
もう見つけたのかと思ったがどうやら違うらしい。唇を尖らせ、不機嫌そうにしていた。
「もう帰ろうよ花宮」
「はぁ?ふざけんなよ…」
どうせ見つかんないから。そう言って裾を握ったまま出口の方へ歩きだそうとする名前。
その我が儘さ加減に苛立ちが募る。
「お前が探すっつったんだろ」
軽く睨み付けるが名前は気にもせずぽつりと呟いた。
「こうすれば花宮と一緒にいられるかなー、って思ったんだもん」
なのに二手に別れちゃうし、意味ないじゃん。
微かに眉を下げ俯く名前。被害を被っているのはオレのはずなのに、シュンと肩を落とす#名前#を見るとどうしてか罪悪感がわいてくる。
それならそうとハッキリ言えば良いだろ。
すると名前は花宮は部活で疲れてるでしょ?と馬鹿げた事を言い出した。
「何無駄に気使ってんだよ、バァカ」
そう言って少し乱暴に頭を撫でてやると名前は顔を上げ、驚いたような、嬉しそうな顔で微笑む。
その顔を見て気恥ずかしくなったオレはとりあえず名前の頬をつねっておいた。
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