八戒くんと年上幼なじみ




⚠謎時空


「名前姉ちゃん!」

ある日の夕方。近くのスーパーで買ったばかりの食材が詰め込まれたレジ袋を提げ、久しぶりの彼の家へと軽い足取りで進んでいく。そんな私の後ろから名前を呼ぶ声がする。振り向くとそこには幼なじみの少年の姿があった。

「八戒くん?」
「こんなとこで何してんの?」

家、こっちじゃないでしょ?首を傾げながら私を見下ろす八戒くん。また背が伸びたんじゃないだろうか。

「実はね、これから彼氏の家行ってご飯作るんだ」
「え、名前姉ちゃん、彼氏いるの!?」
「私だって彼氏のひとりやふたりくらいいるよ」

へぇ……と小さな声を漏らす八戒くんの表情は逆光も相まってよく分からなかったけど、それでも寂しそうな様子が伝わってくる。当たり前のようについてくる八戒くんと2人並んで歩いていると、カバンの中の携帯が震える。
取り出して見てみるとメールが1件。彼氏のアドレスからだった。
カコカコとボタンを操作してメールを開く。
『急用出来たから今日は会えねーわ』
開く前からなんとなく予想していた文面が画面に表示される。
今日は、じゃなくて今日も、じゃん。
メッセージの送り主に一時の怒り。その後直ぐにやってくる諦め。
ふぅ、とため息を吐いた私の方を見て、八戒くんがどうしたのと心配した顔をする。

「予定へんこ〜!」

わざと明るい声を出し、くるりとターンをして先程までとは逆方向に足を進める。
突然の私の行動に驚きながらも慌てて私の後ろ
を着いてくる八戒くんは大型犬みたいでとてもかわいい。

「ドタキャンされちゃった。今日は会えないって」
「はぁ?何だよそれ!最低じゃん!!」
「まぁたまに……よくあるし。だからさ、八戒くんが食べてくれたら嬉しいなぁ」

だめ?
きっと彼は断らないだろう。思った通り彼氏に対して憤慨した勢いのままもちろん食う!!と大きな声で返事をする八戒くんに私は思わず笑ってしまうのだ。