☆夢主が日々樹渉の妹設定です



「……兄さんは私のものだよ」

不意に、何の脈絡もなく彼女にそう言われた。二人で広いベッドに横になって、そろそろ眠ろうかと目を閉じていたところだった。彼女は僕から体を背けているから、どんな顔をしているのかはわからない。

「渉は僕のだよ」
「違うよ。違うの、兄さんは私のなの」
「……突然どうしたの? 何か怒ってる?」

体を起こして彼女の顔を覗き込む。彼女はほんの少しむくれたような顔をしていた。じと、と文句ありげな瞳がこちらを見つめ返す。

「…………怒ってる。だって、兄さんは私のなんだもん。それで、私は英智さんのでしょ」
「ふふ、どっちも僕のだと思ってたけれど、そうなの?」
「兄さんが英智さんのものじゃなかったら、私のことちゃんと自分のものだって言ってくれるでしょ。今は、兄さんが好きで、ついでにその妹も、みたいでやだ。兄さんのこと嫌いになっちゃいそう」

彼女はもぞもぞと寝返りをうって、僕の胸に寄り添う。温かな体温は、まだ少し不満げに僕にすがり付いてきた。

「ついでに、なんて思ってないよ。そもそも、渉への好きときみへの好きは違うと思うけど……」
「嘘つき。言われれば兄さんとセックスできるでしょ」
「こら、下品だよ。…………いや、性的な目で見れるかどうかじゃなくって……渉とはアイドルができるけど、きみとはできないから」
「どういうこと?」

顔を上げた彼女の横髪を撫で、額にくちびるを寄せる。よしよしと妹や弟にするように頭を撫でてやりながら、優しく微笑みを浮かべた。

「きみのことは、首輪でもつけて独り占めしたいな。僕以外の誰にもきみを見せたくない。だからきみへの好きって、渉へのそれよりもっと薄汚くてどろどろしたものだと思うんだよね」
「……そっか。ふふ、そっかぁ」

流石に引かれるかなと思ったのだけれど、案外僕の回答は彼女のお気に召したらしい。彼女は嬉しそうに笑って、細い身体を寄せてきた。

「じゃあ、ちゃんと英智さんのでいてあげる。英智さんだけのもので」
「ありがとう、大事にするよ」

可愛いなぁ、と苦笑しながら彼女をぎゅうっと抱き締めた。彼女の頭にくちびるを寄せると、ふんわり甘い香りが鼻腔をくすぐる。

本当は、いっそ、その美しい手脚も切り落としてしまいたい。自分の力だけでは到底生きていけないような体にして、この屋敷の中に永遠に繋ぎ止めてしまいたい。けれどやっぱりそんなことは出来ないから、きみを僕のものだと言い聞かせている。

だからきっと、渉ときみは全然違うものだよ。この醜い心をすべて打ち明けることはしないけれど。