いっぱい食べてね
「ニキちゃん」
「も〜、燐音くんみたいな呼び方やめてって言ってるでしょ」
キッチンで料理をしていると、お風呂から上がった彼女が後ろから抱き着いてきた。なんとなくこういうのって男女が逆な気もするけど、僕が料理好きで彼女はそこまで好きじゃないからこうなるのも仕方ない。
彼女は僕のお腹に手を回して、ぎゅっと僕を抱き締める。すると、料理の音に負けないくらい大きなお腹の音が聞こえてきた。
「お腹ぺこぺこ……」
「あはは、そうみたいっすね! もうちょっとで出来るんで、向こうで待ってて? 流石に危ないっすから」
「うん……ニキちゃん大好き、ありがと」
「どういたしまして。僕も大好きっすよ」
彼女の方を向いて、一瞬触れるだけのキスをする。彼女は満足そうに笑って、大人しくリビングに行ってしまった。
彼女と同棲を初めてから、そろそろ三ヶ月になる。それなりに幸せで、たまに燐音くんが来るのはちょっと迷惑だけど、僕は今の生活に満足してる。そして何より、同棲を始めて僕はある楽しみを見つけたんだ。
「はいっ、ご要望のオムライスっすよ〜」
「わあ……! 美味しい、」
「いやまだ食べてないでしょ」
「見た目と匂いがもう美味しいの!」
出来た料理を彼女の前に置くと、まるで餌をもらったワンちゃんみたいに、彼女は目をきらきら輝かせる。尻尾があったらきっとちぎれちゃうくらいに振ってるんだろうなぁ、と思わせるような喜び方だ。
でも僕が先に洗い物を済ませようとすると、料理と僕を交互に見て大人しく待っている。その様子がもう可愛くて可愛くて、最近はわざと洗い物を最後にまとめるようにしちゃっている。
僕が洗い物を終えてテーブルにつくと、彼女は期待に満ちた目で僕を見つめる。食べていい? と視線で訴えられているみたいだ。
「はい、じゃあ食べましょうか。いただきまーす」
「いただきますっ」
スプーンにオムライスを少し取って、彼女はぱくっと口の中に入れる。柔らかそうな頬をリスみたいに膨らませて、彼女は幸せそうに顔を緩ませる。彼女ほど美味しそうに食べる人を僕はあんまり見たことがない。
「おいひい……死んじゃう……」
「あはは、死なないで〜! そういえばケチャップにしましたけど、今度はデミグラスソースとかにしてみます?」
「あっ……あのね、わがままだから別に面倒だったら良いんだけど……私、ホワイトソースのオムライス食べてみたい……!」
「ん、別に全然良いっすよ」
僕が笑って承諾すると、彼女は嬉しそうに「やった!」なんて笑う。食べ物に関してここまで幸せを感じられる人って、意外と今の社会には少ない気がする。
彼女はわがままかも、と遠慮するけど、実はもっともっとわがままを言ってほしい。あれが食べたい、これが食べたい、ってもっともっと言ってほしい。僕は全部叶えられる自信があるから、叶えてあげたときの心底幸せそうな笑顔をもっと見せてほしい。
「……やっぱり、同棲始めて良かったっすね」
「んぇ、いきなりだね。私もニキちゃんとずっと一緒にいられて嬉しい! ご飯も、二人で一緒に食べると二倍美味しいもん」
彼女はそう言って子どもみたいに笑う。うん、本当、おなかいっぱいになっちゃうくらい幸せだ。
「も〜、燐音くんみたいな呼び方やめてって言ってるでしょ」
キッチンで料理をしていると、お風呂から上がった彼女が後ろから抱き着いてきた。なんとなくこういうのって男女が逆な気もするけど、僕が料理好きで彼女はそこまで好きじゃないからこうなるのも仕方ない。
彼女は僕のお腹に手を回して、ぎゅっと僕を抱き締める。すると、料理の音に負けないくらい大きなお腹の音が聞こえてきた。
「お腹ぺこぺこ……」
「あはは、そうみたいっすね! もうちょっとで出来るんで、向こうで待ってて? 流石に危ないっすから」
「うん……ニキちゃん大好き、ありがと」
「どういたしまして。僕も大好きっすよ」
彼女の方を向いて、一瞬触れるだけのキスをする。彼女は満足そうに笑って、大人しくリビングに行ってしまった。
彼女と同棲を初めてから、そろそろ三ヶ月になる。それなりに幸せで、たまに燐音くんが来るのはちょっと迷惑だけど、僕は今の生活に満足してる。そして何より、同棲を始めて僕はある楽しみを見つけたんだ。
「はいっ、ご要望のオムライスっすよ〜」
「わあ……! 美味しい、」
「いやまだ食べてないでしょ」
「見た目と匂いがもう美味しいの!」
出来た料理を彼女の前に置くと、まるで餌をもらったワンちゃんみたいに、彼女は目をきらきら輝かせる。尻尾があったらきっとちぎれちゃうくらいに振ってるんだろうなぁ、と思わせるような喜び方だ。
でも僕が先に洗い物を済ませようとすると、料理と僕を交互に見て大人しく待っている。その様子がもう可愛くて可愛くて、最近はわざと洗い物を最後にまとめるようにしちゃっている。
僕が洗い物を終えてテーブルにつくと、彼女は期待に満ちた目で僕を見つめる。食べていい? と視線で訴えられているみたいだ。
「はい、じゃあ食べましょうか。いただきまーす」
「いただきますっ」
スプーンにオムライスを少し取って、彼女はぱくっと口の中に入れる。柔らかそうな頬をリスみたいに膨らませて、彼女は幸せそうに顔を緩ませる。彼女ほど美味しそうに食べる人を僕はあんまり見たことがない。
「おいひい……死んじゃう……」
「あはは、死なないで〜! そういえばケチャップにしましたけど、今度はデミグラスソースとかにしてみます?」
「あっ……あのね、わがままだから別に面倒だったら良いんだけど……私、ホワイトソースのオムライス食べてみたい……!」
「ん、別に全然良いっすよ」
僕が笑って承諾すると、彼女は嬉しそうに「やった!」なんて笑う。食べ物に関してここまで幸せを感じられる人って、意外と今の社会には少ない気がする。
彼女はわがままかも、と遠慮するけど、実はもっともっとわがままを言ってほしい。あれが食べたい、これが食べたい、ってもっともっと言ってほしい。僕は全部叶えられる自信があるから、叶えてあげたときの心底幸せそうな笑顔をもっと見せてほしい。
「……やっぱり、同棲始めて良かったっすね」
「んぇ、いきなりだね。私もニキちゃんとずっと一緒にいられて嬉しい! ご飯も、二人で一緒に食べると二倍美味しいもん」
彼女はそう言って子どもみたいに笑う。うん、本当、おなかいっぱいになっちゃうくらい幸せだ。