「……ごめん。びっくりした」

突然、無言且つ無表情で私をベッドに押し倒した彼は、少し間を置いてからそう呟いた。

なんの脈絡もなく押し倒されたので驚くのはむしろこちらなのだけれど、彼はいったい何がしたいのだろう。

私が呆気に取られていると、彼はくすりと微笑んで私の額にくちびるを寄せた。

「ふふ、ごめんね。非力な僕でも押し倒せちゃうと思わなかったんだ。思っていたより君が……その、華奢で、驚いたんだよ」
「…………えっ、もっと肥えてると思ってたの?」
「いや、そうじゃなくて……ほら、僕あまり運動とか出来ないし、女の子にも力で勝てないんじゃないかと思っていたから。でも押し倒せてちょっと感動しちゃった」

なんだか楽しげに笑う彼を見て、ひとり、どくどくと速まっていた心臓を悟られないよう顔をしかめる。

きっと、本当にただやってみたかっただけなのだろう。彼は妙に無垢というか、子どもっぽいところがあるから、こんなところで変に意識したり期待したりしてはいけない。

「流石に、男の子には勝てないよ。満足したなら退いて」
「ええ、やだよ」
「どうして? 今日はもっと甘やかしてほしいの?」

さらりと彼の金髪を撫でると、思いのほか強い力でその手首を掴まれた。そしてそのままベッドに押さえつけられ、じいっと瞳を覗き込まれる。

「今日は君を好き勝手したいな。駄目?」
「……だ、だめ」
「どうして? さっきから君の心臓、今にも破裂しそうなくらいなのに」

彼の指先がすらりと私の胸元を暴く。必死に隠していたつもりだったのに、彼には筒抜けだったらしい。自分の動揺や期待が筒抜けだったとわかると、途端に恥ずかしくなって赤面してしまった。

「ふふ、可愛い」
「もう……ばか」

もう、子どもじみた照れ隠ししか出てこない。やっぱりどこか無邪気に笑っている彼は、そんな不器用な私に優しくキスをしてくれた。