「こはくちゃんは可愛いねぇ、良い子だね」

毎度毎度、何かにつけてそう言われ続けてもううんざりしとった。大体燐音はんみたいにこはく「ちゃん」っちいわれるんも嫌やった。何か、わしのこと男やなんて思っとらんって言われとるみたいで。

やから今日はつい、わしの頭を小動物よろしく撫でてくるその手を掴んでもうた。そしたら掴んだ手首が思っとったより細くて、ちょっとでも力を込めたらそれだけでポッキリ折れてまいそうで、そのまま離せんくなった。

「……こ、こはくちゃん、怒った……?」
「いや、怒っとらん。でもちゃんっちいうんはやめてや、わしかてちゃんと男なんやから」
「ご、ごめん。……こはくちゃん、可愛い顔してるから、つい……あっごめん!」

言うたそばからこの調子や。しかも可愛い顔しとるっち言いよる。そんなん言われて喜ぶ男がどこにおんねん。まして好いとる相手に。

「なあ、主はん、わしのことなめとるんか? こんな細っこい腕して、力やとわしに敵わんのに」

詰め寄って顔を合わせたら、火ぃ吹くみたいに真っ赤になりよった。そないな反応されるとは思っとらんかったから、つい、わしまで顔が熱うなってもうた。

「……ごめん。なめてないけど、こんなにかっこいいとは聞いてない……」
「いや、わしもつい触ってもうてすまん。みだりに人様に触ったあかん、っち思うとったんやけど……なんか主はん見てたら手が出てまう。いや、暴力振るうっち意味やなくて……何やろ、こんな細っこくて触ったら壊してまいそうやのに、何か、触りたくなってまう」

綺麗な手を引き寄せて、らしくないんは重々承知のうえで手の甲に接吻した。そしたらまた林檎みたいに真っ赤になりよるから、やっぱり可愛ええのはわしより主はんのほうやないの、っち笑ってもうた。