「ポッキーゲームしましょう!」
「……時差やばいね。今十二月だよ」

ポッキーを買って帰って来た同居人は、意気揚々とポッキーの袋を開封し始めた。もうポッキーの日から一ヶ月が経とうとしているというのに、今更何を言っているのだろう。

「ポッキーの日以外にポッキーゲームをしてはいけないという決まりはありませんよ。さあさあ、どうぞ遠慮せずに……☆」
「うわっ、くわえさせようとするな! やめろ!!」
「ああん、手厳しい……っ!」

ポッキーを無理やり押し付けようとする彼の手を振り払い、はあ、と大袈裟に溜め息をついてみせる。

何をきっかけにこんなことを言い出したのか知らないけれど、ポッキーゲームをするような馬鹿っぽいカップルにはなりたくない。これは私のプライドの問題だ。

「渉」
「はい? わ、っ」

ポッキーを持ったままの彼の胸ぐらを掴み、そのままグイッと引き寄せる。そしてそのまま彼の唇を奪ってから、彼の手からポッキーを奪い取って食べてやった。

「まどろっこしいのは好きじゃない。キスしてほしいならそう言ってよ」
「男らしくて素敵ですがロマンがないです! 少しずつ近づいていくのが良いんじゃありませんか。ドキドキするでしょう?」

私の食べかけのポッキーの先を咥えた彼と、至近距離で目が合う。あれ、こんなにかっこよかったっけ、なんて馬鹿なことを再認識しながら、彼の綺麗な目をじっと見つめた。さくさくさく、と食べ進めて、そのまま彼の唇にキスをする。

「……たまには、こういうのも良いでしょう?」
「…………まあ、年一くらいなら」
「お気に召したようで何よりです!」

渉はそう言って私の額と瞼にキスをしてくれた。まぁ、年に一回、ポッキーの日にだけなら悪くないかもしれない。少し馬鹿っぽいけど、まあそれはそれ、これはこれだ。