紅い瞳と目が合う。その瞬間に、私の中にある何かが弾けたような気がした。ふわりと揺れながらきらびやかに光を反射させる銀色の髪に、陶器のような白い肌。そしてパーティーの人混みの中でも私を真っ直ぐに見つめている、鋭いルビーの瞳。

「……こんばんは」

気付けば彼は私の目の前にいて、思いもよらず柔和な笑みを浮かべていた。私は手に持っていたグラスを落としそうになりながら、なんとか挨拶を返す。

「こんばんは」
「きみは、日和くんのお友達?」
「日和……って、巴日和さん? お友達、ではないですよ。家同士のお付き合いがあるので、招待していただいたんです」

ふわふわ、夢見心地で会話をする。今日は巴財閥主催のパーティーだから、家のよしみで招待をしていただいた。勿論これまでも何度かこういう機会はあったし、今晩も気苦労を感じながら愛想笑いを貼り付けるだけの、つまらないパーティーになるだろうと思っていた。

それなのに今の私ときたら、まるでこの会場に彼と私しかいないかのような気さえしている。

「貴方は……?」
「……ひみつ」
「どうして?」
「どうしてだろう」

彼はそう言ってくすりと微笑んだ。それがまるで西洋の宗教画に描かれる聖人のようで、私はそれ以上彼を追求するのをやめた。

「君の目、不思議な感じがする」
「……目?」
「うん。宇宙みたい」

独特な雰囲気のある人だった。言葉選びも会話の間合いも、どこか普通の人とは違う。だからこそもっと彼を知りたいと思った。

彼は骨ばった、それでいて美しい手がそっと私の頬を撫でる。恋人にするような優しい手つきに、思わず戸惑い彼の瞳を見つめてしまう。

「うん。宇宙みたいだね。惹き込まれそう」
「……貴方の瞳はまるで宝石みたい」
「ありがとう」

するりと彼の手が離れる。触れられていた頬がじんわり熱くなる。やはり目は離せないまま、彼は薄い唇を開いた。

「私、もっと君のことを知りたいな」
「……私も」

絞り出した声は微かに震えていた。それは歓喜のあらわれのようにも思えたけれど、これから起こることへの不安や期待のようにも思えた。

差し伸べられた手に恐る恐る自分の手を重ねて、彼の導くままに会場を抜け出す。私の胸はこれまでにないほど昂っていた。