きらきら、ふわふわ、ぴかぴか……どきどき。彼を見ていると、世界が眩く煌めく。宝石のような瞳は世界中の光を湛え、柔らかくウェーブする髪は重力なんてないみたいに宙を揺らめく。

「……なまえちゃんはどうして、ぼくの前だとそんなに静かになるの?ジュンくんや茨とは、いつも楽しそうにお話してるね。なんだか悪い日和!」

彼の声に、ふっと現実に引き戻される。二人がけのソファに隣同士で腰掛けて、ラフな格好のままの彼が少しむくれたような声を出す。いけない、また見蕩れてしまっていた。誤魔化すように笑って、ついと彼から視線を逸らす。

「ごめんなさい、つい」
「つい……、何なの?ぼくとお話したくない?」
「そんなこと……」
「ならどうして?もうっ、逃げないでほしいね」

ずい、と彼が身を乗り出して距離を詰める。逃げ続ければ、自然とソファに押し倒されるような形になってしまった。

「なまえ、話して」

甘い言葉が、これは命令だと言わんばかりに心を貫く。観念して、目を逸らしたまま、恐る恐る心を打ち明ける。

「……日和くんといると、すごく心が乱される。言葉が上手く出てこなくなって……というか、日和くんについて思うこころは、どんな言葉でも当てはまらないような気がするの」
「きみのこころは、どんなふうなの?違っていてもいいから、教えてほしいね」
「私は……日和くんといると、胸の辺りがぽかぽかして……視界がきらきら輝いて……あたたかい色になるの、虹色みたいな色……」

私の拙い言葉を聞いて、日和くんは満足気に笑った。そうして私の額に唇を寄せ、母親が子どもにそうするように、優しく頭を撫でる。

「なら、一番近い言葉を教えてあげる。すき、だよ。ほら、言ってごらん」
「……すき、」

言葉は、すとんと心に寄り添った。私が彼を見上げれば、今度は唇に、彼がキスを落とす。

「言葉でなくても、伝えられるね。きみのこころはこれで合ってる?」
「……うん、ぴったり」
「うんうん、流石ぼくだね!」

視線が絡んで、言葉が消える。そのまま、また引き寄せられるように唇を重ねた。このまま心も伝わってしまえばいいのに。……なんて、今更だろうか。