「つらくないのかや?」

ベッドの縁に腰掛けて自分の膝に肘をつき、ベッドで丸くなる彼女に声を掛ける。彼女は肩で息をしながら、途切れ途切れに甘い声を出した。

「へいき、っだから、あっち行って……!」
「平気ならここにおっても構わんじゃろ。まったく……見上げた根性じゃのう。そんなに神さまとやらが大事なのかや?」

彼女は顔を少しだけ上げて、潤んだ瞳で俺を睨みつける。そんなことをしても何にもならないというのに。

 つい先日街中で彼女に一目惚れしてからというもの、何とか契約に持ち込もうと毎日欠かさず誘惑を重ねているのだが、敬虔なシスターである彼女は一向に靡いてくれない。こうして催淫魔法をかけてみても、おねだりしてくれるどころか近づかせてすらくれないのだ。

「わたし、私にはもう、神さましか……家族もいないのに、神さまにも見放されたら、私は……っ」
「ほう。お主、孤児か。なるほど、身よりもなく孤独じゃから、神さまに縋るしかなかったんじゃな。フフ、可哀想な子じゃのう」

 ベッドに上がって彼女に近付く。咄嗟に頬を打とうとした彼女の手を捕まえて、そのまま両腕を頭の上にひとまとめにして押さえつけた。そしてその愛らしい唇に噛み付くようにキスをする。

「神さまがなにしてくれるっつ〜んだよ?」
「……っう、るさい……! だまって、」
「いいや黙らね〜よ。今にも悪魔に犯されちまいそうなのに神さまはうんともすんとも言わねぇじゃね〜か、これまでだって神さまがお前を救ってくださったことがあったか? あるはずねぇよな、神さまなんてどこにもいねぇんだから」
「…………」

 耳もとで優しく囁くと、彼女はびくりと身体を跳ねさせて下唇を噛み締めた。ぐちゃぐちゃになった頭を揺さぶれば簡単に堕ちてくる。

「なァ、なまえ。縋るモンが欲しいんだろ? なら俺にねだればいい。何をしてほしいのか、口にしてみろよ」
「……でも、」

彼女は涙を滲ませながら、それでも既に縋り付くような眼差しで俺を見つめた。

「大丈夫、正直に言えよ。何でも叶えてやるから」

 もうひと押し、と、彼女の首すじを指先でなぞりニヤリと笑ってみせる。彼女はぶるりと身を震わせて、とうとう一粒の涙を零した。

「…………っさわって……ほしい……」

その涙を拭い、もう一度その唇にキスをする。胸もとをはだけさせ熱い肌に触れればそれだけで細い身体が跳ねる。

 ああ、もうどれだけ我慢したことか。やっと自分のものにできるんだ。舌なめずりをして、味わうように彼女の肌に舌を這わせた。

神さまなんてのがもし本当にいるんなら、相当間抜けで馬鹿な奴に違いない。こんなに美味いものを野放しにしておくんだから。