ままならぬ
「……おい、何を不貞腐れている」
帰宅すると、わざわざリビングのソファでむすくれているなまえの姿を見つけた。不機嫌そうな顔をしたまま、彼女は無言で雑誌を広げ俺に見せてきた。
「ん? あぁ、この前の……ブライダルの仕事か。これがどうかしたか?」
「別に、敬人は私だけのじゃないってちゃんとわかってるもん。拗ねてない」
「……なるほどな」
どうやら、仕事でプロポーズを題材にしていたのが気に食わなかったらしい。もちろん仕事は仕事だと前々から言ってあるしなまえも理解してくれているが、やはりそれだけではままならない心情もあるのだろう。
なまえの隣に腰掛けると、彼女は俺の肩に頭を預けてきた。不器用なりに甘えているのだろう。その頭を軽く撫でながら、一考し、言葉を選ぶ。
「わかっていると思うが、これはあくまでも仕事だ。……この仕事中はずっとお前のことを考えていた。確かに有難いことに俺には多くのファンがいる。が、俺が結婚したいと思うのはお前だけだ。それでは不満か?」
気恥しいのを誤魔化すように眼鏡を指先で上げる。彼女は俺の肩に頭を擦り寄せ、顔は見せないまま首を横に振った。
「ううん。ありがと……あの、これってプロポーズじゃないよね?」
「そ……うだな。したいと思うことと実際にすることとはまた別だ。まだもう少し待っていてくれ。俺がプロポーズをするときは、お前を確実に幸せにできる準備が整ったときだ」
「うん、良い子で待ってる」
彼女は顔を上げると嬉しそうに笑ってみせた。早く、真っ白なドレスに身を包んだ彼女を見てみたい。
ままならないもどかしさと愛おしさを落ち着かせるように、そっと彼女の唇にキスをした。
帰宅すると、わざわざリビングのソファでむすくれているなまえの姿を見つけた。不機嫌そうな顔をしたまま、彼女は無言で雑誌を広げ俺に見せてきた。
「ん? あぁ、この前の……ブライダルの仕事か。これがどうかしたか?」
「別に、敬人は私だけのじゃないってちゃんとわかってるもん。拗ねてない」
「……なるほどな」
どうやら、仕事でプロポーズを題材にしていたのが気に食わなかったらしい。もちろん仕事は仕事だと前々から言ってあるしなまえも理解してくれているが、やはりそれだけではままならない心情もあるのだろう。
なまえの隣に腰掛けると、彼女は俺の肩に頭を預けてきた。不器用なりに甘えているのだろう。その頭を軽く撫でながら、一考し、言葉を選ぶ。
「わかっていると思うが、これはあくまでも仕事だ。……この仕事中はずっとお前のことを考えていた。確かに有難いことに俺には多くのファンがいる。が、俺が結婚したいと思うのはお前だけだ。それでは不満か?」
気恥しいのを誤魔化すように眼鏡を指先で上げる。彼女は俺の肩に頭を擦り寄せ、顔は見せないまま首を横に振った。
「ううん。ありがと……あの、これってプロポーズじゃないよね?」
「そ……うだな。したいと思うことと実際にすることとはまた別だ。まだもう少し待っていてくれ。俺がプロポーズをするときは、お前を確実に幸せにできる準備が整ったときだ」
「うん、良い子で待ってる」
彼女は顔を上げると嬉しそうに笑ってみせた。早く、真っ白なドレスに身を包んだ彼女を見てみたい。
ままならないもどかしさと愛おしさを落ち着かせるように、そっと彼女の唇にキスをした。