「あっ♡ Eveのチケット当たった〜!」

隣で全裸のままシーツを被った彼女は、嬉しそうに声を上げる。後ろから抱きついてスマホの画面を覗き込むと、当選の文字。

「言ってくれれば、自分が用意しますよ」
「うん、そういうのはいらないかな。自力で当てて自力で行くのがマナーだからね〜、あと邪魔だからくっつかないで?」

「……てっきりそういうコネ目的で俺に近付いたのかと思ってましたよ」
「そうなの?たまたま丁度いいところに顔が良くて女に困ってなさそうで後腐れもなさそうな男がいたから、セフレに丁度いいなって思っただけだよ」

彼女の首筋に吸い付き、跡を残す。セフレ。そうだ、俺たちの関係はセフレ以外の何者でもない。

たまに都合がいいときに会って、セックスして、終わり。それだけだ。ピロートークなんてしないし、風呂も一緒に入らない。

「……ずっとセフレなんです?」
「え?うん」
「俺が嫌だって言ったら?」
「会わなくなる。茨にそういうことは求めてないし」

ふ〜〜〜〜〜ん、と文句ありげにそう言って、彼女の首筋に歯を立てる。気に入らない。自分だけが掻き乱されて、手のひらの上で転がされるなんて。

「私、ジュンくんみたいなひとが好きなんだよね。わかる?こう、ギラついた獣みたいな目をしてて、欲しいものは自力で掴み取る!みたいな……野心家?でも案外不器用だったり甘かったりする……かっこいいけど可愛い感じの人!」
「へ〜〜〜ぇ!興味無いです」
「あはは!だろうね。私も茨のタイプに興味無いもん」

俺は興味が無いというより、他の男を例に挙げられて不愉快なんだが、多分察してはくれないだろう。いや、察しても汲み取ってはくれないだろう。

「……もう一戦付き合ってくれません?」
「ん!いいよ、満足するまでどうぞ」

スマホを置き、彼女はにっこりと笑う。何回したって満足するはずがない。体の関係から初めてしまった自分の戦略ミスか、と心底後悔しながら、また彼女の素肌に手を這わせた。絶対いつか堕としてやるなんて確固たる欲望を心に住まわせたまま。