盲目だから
「あ、おかえり。お邪魔してま〜す、お兄ちゃん♪」
「り、凛月?」
「おかえりなさい」
「うむ、ただいま」
へとへとになって帰宅すると、玄関に靴が二つ。そしてリビングのソファには並んで腰かけている彼女と凛月がいた。
大好きなものと大好きなものが一緒にいてとても眼福……のはずなのだが、少し顔が引き攣ってしまった。荷物をおいてジャケットをハンガーにかけ、恐る恐るソファに近づく。
「え〜と……凛月〜、お兄ちゃんに何か用かや?」
「別に。遊びに来ただけ。兄者も帰ってきたし俺はそろそろ帰るね」
「もう帰るの? せっかくお兄ちゃん帰ってきたのにお話しなくていいの?」
「うん、今日はなまえさんに構ってもらいにきただけだから。じゃあね、お邪魔しました〜」
凛月は俺にも中々向けないような弟っぽい愛らしい笑みを彼女に向けて、すたすたと呆気なく帰ってしまった。バタン、とドアが閉まると、彼女がソファから立ち上がる。
「お腹すいたでしょ、ご飯準備するね」
「いやいい、ちょっと来い」
「えっなに……なんで怒ってるの」
彼女の腕を掴んでそのままソファに押し倒す。別に怒っているつもりはなかったし怖がらせるつもりもなかったんだが、つい、力が入ってしまった。
「別に怒ってね〜けど、あ〜いや…………零ちゃん怒ってないぞい♪」
「……どうしたの?」
仕方なさそうにため息をついて、彼女は手を伸ばし俺の頭をやさしく撫でてきた。観念して腕を折り曲げ彼女の首筋に顔をうずめる。そしてそのままもごもごと小さな声で心の中を吐露した。
「凛月がどうとかじゃね〜けど、弟でも、夜に二人でとかはなんかヤだ」
「やきもち?」
「そう」
「可愛いね」
くすくす笑われたのが何となく癇に障って、顔を上げジト目で彼女を見つめる。そのまま口をあけて首筋にがぶりと牙を突き立てた。細い身体を抑え込んで、首や肩口にいくつか噛み跡をつける。
「あっ、痛、こら!」
「なまえは全部我輩のじゃもん! 怒られる筋合いはないのじゃ!」
「ねぇまさかぶりっ子したら許されると思ってる? 夕飯準備してあげないからね」
「嫌じゃ〜!」
我ながらバカみて〜な駄々のこね方をして、有耶無耶のまま彼女に痕をのこしまくった。その後しっかり頭を叩かれたけど悔いはない。
「なまえの爪先から髪の毛の一本一本まで全部我輩のものじゃから、ちゃんと自覚するように」
「……そっちこそ」
「くくく、そうじゃな、その通りじゃ」
可愛いことを言うくちびるに、噛みつくようにキスをして笑ってみせた。いい歳してこんな些細なことに心を乱されるのは少し情けないが、不思議と彼女にかかわることだときまって大人げなくなってしまうものだ。
恋は盲目とも言うことだし、ちょっと嫉妬して閉じ込めちゃいたくなったり痕を残したりするくらいは大目に見てほしいものだ。
「り、凛月?」
「おかえりなさい」
「うむ、ただいま」
へとへとになって帰宅すると、玄関に靴が二つ。そしてリビングのソファには並んで腰かけている彼女と凛月がいた。
大好きなものと大好きなものが一緒にいてとても眼福……のはずなのだが、少し顔が引き攣ってしまった。荷物をおいてジャケットをハンガーにかけ、恐る恐るソファに近づく。
「え〜と……凛月〜、お兄ちゃんに何か用かや?」
「別に。遊びに来ただけ。兄者も帰ってきたし俺はそろそろ帰るね」
「もう帰るの? せっかくお兄ちゃん帰ってきたのにお話しなくていいの?」
「うん、今日はなまえさんに構ってもらいにきただけだから。じゃあね、お邪魔しました〜」
凛月は俺にも中々向けないような弟っぽい愛らしい笑みを彼女に向けて、すたすたと呆気なく帰ってしまった。バタン、とドアが閉まると、彼女がソファから立ち上がる。
「お腹すいたでしょ、ご飯準備するね」
「いやいい、ちょっと来い」
「えっなに……なんで怒ってるの」
彼女の腕を掴んでそのままソファに押し倒す。別に怒っているつもりはなかったし怖がらせるつもりもなかったんだが、つい、力が入ってしまった。
「別に怒ってね〜けど、あ〜いや…………零ちゃん怒ってないぞい♪」
「……どうしたの?」
仕方なさそうにため息をついて、彼女は手を伸ばし俺の頭をやさしく撫でてきた。観念して腕を折り曲げ彼女の首筋に顔をうずめる。そしてそのままもごもごと小さな声で心の中を吐露した。
「凛月がどうとかじゃね〜けど、弟でも、夜に二人でとかはなんかヤだ」
「やきもち?」
「そう」
「可愛いね」
くすくす笑われたのが何となく癇に障って、顔を上げジト目で彼女を見つめる。そのまま口をあけて首筋にがぶりと牙を突き立てた。細い身体を抑え込んで、首や肩口にいくつか噛み跡をつける。
「あっ、痛、こら!」
「なまえは全部我輩のじゃもん! 怒られる筋合いはないのじゃ!」
「ねぇまさかぶりっ子したら許されると思ってる? 夕飯準備してあげないからね」
「嫌じゃ〜!」
我ながらバカみて〜な駄々のこね方をして、有耶無耶のまま彼女に痕をのこしまくった。その後しっかり頭を叩かれたけど悔いはない。
「なまえの爪先から髪の毛の一本一本まで全部我輩のものじゃから、ちゃんと自覚するように」
「……そっちこそ」
「くくく、そうじゃな、その通りじゃ」
可愛いことを言うくちびるに、噛みつくようにキスをして笑ってみせた。いい歳してこんな些細なことに心を乱されるのは少し情けないが、不思議と彼女にかかわることだときまって大人げなくなってしまうものだ。
恋は盲目とも言うことだし、ちょっと嫉妬して閉じ込めちゃいたくなったり痕を残したりするくらいは大目に見てほしいものだ。