初恋は
彼女は、夏の日差しが良く似合うひとだった。眩しい光とどこまでも続く青空に包まれて、それでも尚霞むことがないほど、清廉で綺麗なひとだった。
「この子はぼくの婚約者だね! 勿論まだ結婚はしないけれど、そのうちすることになるからね。結婚式にはジュンくんも呼んであげるねっ!」
なんて、おひいさんはいつもの調子で彼女を紹介してきたけど、よりにもよってオレは人生で初めて一目惚れなんてふざけたもんを経験してしまった。本当に最悪のタイミングで最悪の人選だった。
それでも気のせいだなんて思えなかった。
「……婚約者、なんすね。その、家同士のややこしい関係とかがあるんすか?」
「うんうん、完全にないとは言いきれないね。でもこの子はずーっと小さい頃からぼくの幼馴染みみたいなものだし、家族みたいなものだったからね。一般的な恋愛結婚と同じだね!」
「あ、そうだったんだ」
「そうだね! ……えっ、きみは違うの?」
「ううん。私の片想いかと思ってた。ふふ、嬉しい」
幸せそうなやり取りを目の前で見て、あーオレってなんて間と運が悪いんだって溜め息をついた。
初めて紹介されて以降、オレは必死におひいさんにこの気持ちをさとられないよう素っ気ないふりをした。でもあるとき、たまたま彼女と二人きりになっておひいさんを一緒に待っているときがあった。
「あの、なまえさん。……あのひと、わがままだし自分本位だし、疲れねぇっすか」
ふと、そんな疑問を口にした。嫌味っぽくならないよう冗談っぽい声色で、隣に座る彼女の反応を見た。
「全然疲れないよ、いつも明るく手を引いてくれて頼りになって、すごく助かってるの」
「そっすか。なら良いんですけど……」
「ジュンくんは日和くんのこと、好き?」
「す……、えーと、まぁ、恩もありますしこれまで長いこと一緒にやってきたんで……その、好きですよ」
そっか、と、彼女は嬉しそうに笑った。おひいさんのことを楽しそうに幸せそうに話すのを見て、改めて自分の失恋を噛み締める。
この人はおひいさんを本当に好きなんだな、と、直感でそう理解してしまった。理解させられてしまった。
「……早く、式、挙げられたらいいっすね。オレも行きますよ」
「うん。日和くんのお仕事の具合によるけど、皆で結婚式挙げたいね」
彼女の笑顔に合わせて笑ってみたけど、オレの笑顔は引き攣ってなかっただろうか。
結婚式なんて本当に出席したら泣いちまうんじゃねぇかなぁ。それが嬉しさの涙なのかなんなのかはわかんねぇけど。
……せめて、このふたりが世界で一番幸せになってくれたら。
「この子はぼくの婚約者だね! 勿論まだ結婚はしないけれど、そのうちすることになるからね。結婚式にはジュンくんも呼んであげるねっ!」
なんて、おひいさんはいつもの調子で彼女を紹介してきたけど、よりにもよってオレは人生で初めて一目惚れなんてふざけたもんを経験してしまった。本当に最悪のタイミングで最悪の人選だった。
それでも気のせいだなんて思えなかった。
「……婚約者、なんすね。その、家同士のややこしい関係とかがあるんすか?」
「うんうん、完全にないとは言いきれないね。でもこの子はずーっと小さい頃からぼくの幼馴染みみたいなものだし、家族みたいなものだったからね。一般的な恋愛結婚と同じだね!」
「あ、そうだったんだ」
「そうだね! ……えっ、きみは違うの?」
「ううん。私の片想いかと思ってた。ふふ、嬉しい」
幸せそうなやり取りを目の前で見て、あーオレってなんて間と運が悪いんだって溜め息をついた。
初めて紹介されて以降、オレは必死におひいさんにこの気持ちをさとられないよう素っ気ないふりをした。でもあるとき、たまたま彼女と二人きりになっておひいさんを一緒に待っているときがあった。
「あの、なまえさん。……あのひと、わがままだし自分本位だし、疲れねぇっすか」
ふと、そんな疑問を口にした。嫌味っぽくならないよう冗談っぽい声色で、隣に座る彼女の反応を見た。
「全然疲れないよ、いつも明るく手を引いてくれて頼りになって、すごく助かってるの」
「そっすか。なら良いんですけど……」
「ジュンくんは日和くんのこと、好き?」
「す……、えーと、まぁ、恩もありますしこれまで長いこと一緒にやってきたんで……その、好きですよ」
そっか、と、彼女は嬉しそうに笑った。おひいさんのことを楽しそうに幸せそうに話すのを見て、改めて自分の失恋を噛み締める。
この人はおひいさんを本当に好きなんだな、と、直感でそう理解してしまった。理解させられてしまった。
「……早く、式、挙げられたらいいっすね。オレも行きますよ」
「うん。日和くんのお仕事の具合によるけど、皆で結婚式挙げたいね」
彼女の笑顔に合わせて笑ってみたけど、オレの笑顔は引き攣ってなかっただろうか。
結婚式なんて本当に出席したら泣いちまうんじゃねぇかなぁ。それが嬉しさの涙なのかなんなのかはわかんねぇけど。
……せめて、このふたりが世界で一番幸せになってくれたら。