見透かされる
彼は推理が得意だという。けれど推理が得意って、どういうことだろう? 推理といえば探偵、探偵といえば殺人事件、なんて安直な連想しかできない私にはいまいち実感として理解することができなかった。
……と、いうのもつい昨日までのこと。今日、私は彼の推理というものをまざまざと見せつけられてしまった。
「貴女、HiMERUのことが好きなんですか?」
えっ、と声を出すこともできず、ただ硬直してしまった。彼の瞳に見つめられて三秒も経つとバカみたいに顔が真っ赤になってしまう。
否定するにも惚けてみせるにも、もう何もかもが遅かった。彼はそんな私の様子を見てやさしく微笑みを浮かべた。
「複数人でいるときにもよく貴女から視線は感じていました。会う機会がある日には決まっていつもよりめかしこんでいますね。会う直前にも必ず化粧室で化粧直しをしている。お気に入りの甘い香水にお気に入りの髪飾り、アクセサリー。HiMERUに会う日以外にはあまり付けていないみたいですね」
「そ、な、なんでそんなこと……」
彼がすらすらと連ねる事柄すべてが図星すぎて、そんな反応しかできなかった。すると彼は一歩踏み出して私の手首をそっと掴んだ。手首の内側に親指を当てる。
「さて、どうしてでしょうね。……先程の諸々がなくとも、こんなに脈を速くしているのでは簡単にバレてしまいますよ」
「……はい」
心の隅まで見透かされているような気がしてたまらなく恥ずかしかった。頷くようにうつむいて片手で顔を隠す。彼は苦笑してその手を外し、私の顔を上げさせようとする。
「きちんとこちらを見てください、心配しなくてもその気がなければわざわざ貴女の心を暴いたりしませんよ」
「えっ」
驚いて顔を上げると、綺麗な顔がすぐ目の前にあった。息を呑む。というよりは呼吸の仕方を忘れてしまった。
咄嗟に目を瞑ってしまった。すると彼の細い指先が私の横髪をさらりと耳にかけ、熱い手のひらが私の頬を包み込む。そして一瞬、唇が触れた。
「……本当に、わかりやすい人ですね。貴女は」
「ご、ごめんなさい……」
「どうして謝るのですか。俺は可愛らしくて良いと思いますよ。……言葉を間違えましたね。可愛らしくて好き、ですよ」
彼の親指が私の頬をそっと撫でる。きっと私の頬はりんごよりもっと赤くなってしまっているのだろう。
そしてまた彼に覚られてしまう。体が熱で溶けてしまいそうなほど、目の前にいる彼のことが好きで好きでたまらないのだということを。
……と、いうのもつい昨日までのこと。今日、私は彼の推理というものをまざまざと見せつけられてしまった。
「貴女、HiMERUのことが好きなんですか?」
えっ、と声を出すこともできず、ただ硬直してしまった。彼の瞳に見つめられて三秒も経つとバカみたいに顔が真っ赤になってしまう。
否定するにも惚けてみせるにも、もう何もかもが遅かった。彼はそんな私の様子を見てやさしく微笑みを浮かべた。
「複数人でいるときにもよく貴女から視線は感じていました。会う機会がある日には決まっていつもよりめかしこんでいますね。会う直前にも必ず化粧室で化粧直しをしている。お気に入りの甘い香水にお気に入りの髪飾り、アクセサリー。HiMERUに会う日以外にはあまり付けていないみたいですね」
「そ、な、なんでそんなこと……」
彼がすらすらと連ねる事柄すべてが図星すぎて、そんな反応しかできなかった。すると彼は一歩踏み出して私の手首をそっと掴んだ。手首の内側に親指を当てる。
「さて、どうしてでしょうね。……先程の諸々がなくとも、こんなに脈を速くしているのでは簡単にバレてしまいますよ」
「……はい」
心の隅まで見透かされているような気がしてたまらなく恥ずかしかった。頷くようにうつむいて片手で顔を隠す。彼は苦笑してその手を外し、私の顔を上げさせようとする。
「きちんとこちらを見てください、心配しなくてもその気がなければわざわざ貴女の心を暴いたりしませんよ」
「えっ」
驚いて顔を上げると、綺麗な顔がすぐ目の前にあった。息を呑む。というよりは呼吸の仕方を忘れてしまった。
咄嗟に目を瞑ってしまった。すると彼の細い指先が私の横髪をさらりと耳にかけ、熱い手のひらが私の頬を包み込む。そして一瞬、唇が触れた。
「……本当に、わかりやすい人ですね。貴女は」
「ご、ごめんなさい……」
「どうして謝るのですか。俺は可愛らしくて良いと思いますよ。……言葉を間違えましたね。可愛らしくて好き、ですよ」
彼の親指が私の頬をそっと撫でる。きっと私の頬はりんごよりもっと赤くなってしまっているのだろう。
そしてまた彼に覚られてしまう。体が熱で溶けてしまいそうなほど、目の前にいる彼のことが好きで好きでたまらないのだということを。