Look at Me
天使みたいだ、と素直にそう思う。絵画から抜け出してきたような綺麗な子。翼が生えていたって不思議じゃないような、可愛らしい子。
「ねぇ、……ねぇってば! 聞いてる?」
ふと、愛らしい声に現実へ引き戻される。テーブルを挟んで向かいに座った桃李くんは、ちょっと拗ねたみたいに頬を膨らませて私を見ていた。
「もう、せっかくのデートなんだからぼーっとしないでよね」
「ふふ、ごめんね。桃李くんが可愛いからつい、見蕩れちゃった」
「んん……可愛いって、褒めてもらえるのは嬉しいけど……ボクのこと小動物か何かだと思ってない?」
「まさか」
私が慌てて否定すると、桃李くんは「ならいいけど」と呟いて目の前のケーキに手をつけた。フォークを甘いショートケーキに刺す。スポンジがふんわりと軋む。切り取ったひとくちが、彼の小さな口に運ばれる。私は一連の動作をじっと見つめたあと、また怒らせてはいけないと思い、自分の手もとにある紅茶を飲んだ。
「じゃあ、ボクのことどう思ってるの?」
「桃李くんのこと? ……私は桃李くんのこと、天使さまみたいだなって思ってるよ」
「えっと、それってユニットからのイメージ?」
「ううん。桃李くんって本当に天使さまみたいなの。中性的で愛らしくて、純粋無垢な子どもみたい」
ティーカップを置いてフォークを手に取る。ケーキをひとくち食べてちらりと彼のほうを見ると、また子どもみたいに頬を膨らませて文句ありげに私を見ていた。
「ボクのこと子どもみたいだと思ってるの?」
「……えっと」
「今日も、本当はデートとは思ってなかった? ボクは緊張してちっとも眠れなかったし今もずっとドキドキしてるけど、なまえはちがうの?」
真摯な眼差しに射抜かれた瞬間、心臓がばくんと大きく跳ねた。可愛い子、天使みたいな子、子どもみたいな子……と思っていたのに。今目の前にいる彼は紛れもない一人の人間なのだと唐突に理解させられた。そして仄めかされた愛の言葉に胸を高鳴らせてしまった。
「……ボク、なまえが思ってるほど子どもじゃないからね。ちゃんとボクのこと見てて」
そっと彼の手が私の手に重ねられる。私はケーキの上に乗ったいちごみたいに顔を赤くして、ぎこちなくこくりと頷いた。
桃李くんは満足そうに笑ってから手を離して、ケーキに乗ったいちごを食べた。もうその一挙一動を見つめていられるはずもなく、私は誤魔化すように熱い紅茶を飲んだ。
「ねぇ、……ねぇってば! 聞いてる?」
ふと、愛らしい声に現実へ引き戻される。テーブルを挟んで向かいに座った桃李くんは、ちょっと拗ねたみたいに頬を膨らませて私を見ていた。
「もう、せっかくのデートなんだからぼーっとしないでよね」
「ふふ、ごめんね。桃李くんが可愛いからつい、見蕩れちゃった」
「んん……可愛いって、褒めてもらえるのは嬉しいけど……ボクのこと小動物か何かだと思ってない?」
「まさか」
私が慌てて否定すると、桃李くんは「ならいいけど」と呟いて目の前のケーキに手をつけた。フォークを甘いショートケーキに刺す。スポンジがふんわりと軋む。切り取ったひとくちが、彼の小さな口に運ばれる。私は一連の動作をじっと見つめたあと、また怒らせてはいけないと思い、自分の手もとにある紅茶を飲んだ。
「じゃあ、ボクのことどう思ってるの?」
「桃李くんのこと? ……私は桃李くんのこと、天使さまみたいだなって思ってるよ」
「えっと、それってユニットからのイメージ?」
「ううん。桃李くんって本当に天使さまみたいなの。中性的で愛らしくて、純粋無垢な子どもみたい」
ティーカップを置いてフォークを手に取る。ケーキをひとくち食べてちらりと彼のほうを見ると、また子どもみたいに頬を膨らませて文句ありげに私を見ていた。
「ボクのこと子どもみたいだと思ってるの?」
「……えっと」
「今日も、本当はデートとは思ってなかった? ボクは緊張してちっとも眠れなかったし今もずっとドキドキしてるけど、なまえはちがうの?」
真摯な眼差しに射抜かれた瞬間、心臓がばくんと大きく跳ねた。可愛い子、天使みたいな子、子どもみたいな子……と思っていたのに。今目の前にいる彼は紛れもない一人の人間なのだと唐突に理解させられた。そして仄めかされた愛の言葉に胸を高鳴らせてしまった。
「……ボク、なまえが思ってるほど子どもじゃないからね。ちゃんとボクのこと見てて」
そっと彼の手が私の手に重ねられる。私はケーキの上に乗ったいちごみたいに顔を赤くして、ぎこちなくこくりと頷いた。
桃李くんは満足そうに笑ってから手を離して、ケーキに乗ったいちごを食べた。もうその一挙一動を見つめていられるはずもなく、私は誤魔化すように熱い紅茶を飲んだ。