ひとり、広い部屋でぽつんとソファに腰掛け、テレビを眺めている。まだ熱くて飲めない紅茶を冷ましながら、私はテレビにうつる彼を見つめていた。どんな角度からどんなタイミングで見ても必ず綺麗だから、つい瞬きも忘れて釘付けになってしまう。

 この輝きに、いったいどれほどの人間が救われているのだろうか。いつでも笑顔で変わらず輝いていてくれるというのは――春の陽光のような笑顔がいつもそこにあるというのは――きっと多くの人間の支えになっているのだろう。歌って踊って輝いて、どんよりと曇った気分でさえ簡単に晴らしてしまう。それがどんなにやさしいことか。

「ふふん、だ〜れだっ♪」
「っ、日和くん?」
「もう、早すぎるね!」
「いつの間に帰ってきてたの?」

私の目を覆ったあたたかい手は、あっさり私を離してつまらなさそうに私の両肩に置かれた。後ろからソファ越しに日和くんが拗ねた子どものような声を出す。ふわりとウェーブのかかった柔らかい髪が、うなじの辺りをくすぐった。

「ついさっきだね! ぼく、ちゃんとただいまって言ったよね? 何をそんなに夢中になってるのかと思ったら、ぼくのライブ映像観てるんだもん。ちょっと複雑だよねっ」
「あはは、ごめんごめん。日和くんってやっぱりきらきらしてて眩しいなぁって思って観てたの」
「うんうん、ぼくが輝いているのは当然だよね! でも映像より本物のほうが良いのは当たり前だよね? ほらほらっ、満足するまでぼくを見るといいね!」
「見えないよ」

 後ろから抱きついたままでそんなことを言うものだから、苦笑しながらぎこちなく彼の頭を撫でた。やさしい陽だまりのような香りがする。しばらく無心で彼の頭を撫でていると、不意に彼が身体を起こし、改めて私の隣に腰を下ろした。

「別に、自信がないとかじゃないんだけどね」
「うん?」
「ぼくはね、きみを最優先にしないこと、一番をアイドルにし続けてること、にきみが嫌になっちゃうんじゃないかと思ってたんだよね。でもそうじゃないみたいで、安心したね」

日和くんは、珍しく控えめな声量でそう言った。私の肩に頭を預けているせいで表情までは読めなかった。また、若草色の髪を梳くように撫でる。

「日和くんは太陽みたいなひとだからね」
「ふぅん?」
「私だけを、とか、そういうのは思わないよ。太陽みたいにやさしくてあったかくて、色んなひとを陽だまりに誘ってくれる日和くんが好きだから」
「……そっか」

 ほどよく冷めた紅茶を口に含む。日和くんは猫がじゃれるように私の首筋に頭を擦り寄せてきた。

「心配しなくっても、日和くんが居てくれさえすれば、私は勝手に幸せだなーってなるよ」
「うん。……うん、でも、ちゃんとぼくが幸せにしてあげるからね」

これ以上? とは聞かなかった。彼の薄紫色の瞳と目が合うと、幸せの上限なんてないような気がしてしまったのだ。私が黙ったままこくりと頷けば、彼は満足そうににっこりと眩しく笑った。