おてて
冬のぴしゃりと冷たい空気のなか、マフラーに口もとを埋めて待ち合わせ場所に向かうとなまえちゃんの姿を見つけた。まだ待ち合わせより早い時間のはずなのに、なまえちゃんはベンチに腰掛けて自分の靴をじっと見ている。
駆け寄って名前を呼ぶと、まるで飼い主を待っていた犬みたいにぱあっと目を輝かせてなまえちゃんは俺を見つけた。
「薫くん」
「待たせちゃったかな? ごめんね」
「ううん。今来たところ」
「ほんとかなぁ」
冷たくなったほっぺたを指でつつく。なまえちゃんはされるがままになりながら、それでも嬉しそうにふにゃふにゃと力なく笑った。
「あ、薫くん。あれ見て」
「ん? どれどれ」
突然なまえちゃんが何かを指さしたのでそちらを向いてみる。が、特に変わったものはない。どれを見てほしいんだろうと探していると、不意に首筋に冷たいものがあたった。
「とりゃっ」
「うわっ冷た!?」
驚いて肩を跳ねあげ振り返る。どうやら冷たくなった手をうなじに当てられたらしい。びっくりしたけれど、いたずらが成功して満足そうななまえちゃんの無邪気な笑顔を浴びると、ついつい笑って許してしまう。
「も〜、こんなに冷たくして」
「えへへ」
手袋もせず、氷のように冷たくなった華奢な手をそっと包み込む。熱を分けるように冷たい手を揉んでやると、なまえちゃんはちょっとくすぐったそうに笑った。
「いたずらしちゃう悪い手は捕まえとかなきゃ」
「あーあ、捕まっちゃった」
「今日は一日離してあげないからね」
「ふふ、やった」
繋いだ手を自分のコートのポケットに入れて立ち上がる。なまえちゃんはやっぱり幸せそうにニコニコ笑ったまま、俺の肩に頭を寄せてくれた。
寒いのはそんなに得意ではないけど、こうして手を繋ぐ口実ができるのはちょっと嬉しい。……なんて、どうせ暑くたって手は繋いじゃうんだけどね。
駆け寄って名前を呼ぶと、まるで飼い主を待っていた犬みたいにぱあっと目を輝かせてなまえちゃんは俺を見つけた。
「薫くん」
「待たせちゃったかな? ごめんね」
「ううん。今来たところ」
「ほんとかなぁ」
冷たくなったほっぺたを指でつつく。なまえちゃんはされるがままになりながら、それでも嬉しそうにふにゃふにゃと力なく笑った。
「あ、薫くん。あれ見て」
「ん? どれどれ」
突然なまえちゃんが何かを指さしたのでそちらを向いてみる。が、特に変わったものはない。どれを見てほしいんだろうと探していると、不意に首筋に冷たいものがあたった。
「とりゃっ」
「うわっ冷た!?」
驚いて肩を跳ねあげ振り返る。どうやら冷たくなった手をうなじに当てられたらしい。びっくりしたけれど、いたずらが成功して満足そうななまえちゃんの無邪気な笑顔を浴びると、ついつい笑って許してしまう。
「も〜、こんなに冷たくして」
「えへへ」
手袋もせず、氷のように冷たくなった華奢な手をそっと包み込む。熱を分けるように冷たい手を揉んでやると、なまえちゃんはちょっとくすぐったそうに笑った。
「いたずらしちゃう悪い手は捕まえとかなきゃ」
「あーあ、捕まっちゃった」
「今日は一日離してあげないからね」
「ふふ、やった」
繋いだ手を自分のコートのポケットに入れて立ち上がる。なまえちゃんはやっぱり幸せそうにニコニコ笑ったまま、俺の肩に頭を寄せてくれた。
寒いのはそんなに得意ではないけど、こうして手を繋ぐ口実ができるのはちょっと嬉しい。……なんて、どうせ暑くたって手は繋いじゃうんだけどね。