愛の交歓
お付き合いを始める前に手を繋いだ。一回目のデートではキスをした。そして今日、二回目のデートで泊まることになった。ぼくとしては愛しいひとに触れることはすごく嬉しいし願ってもいないことだけど、でも何か……違和感があった。
ホテルの真っ白なシーツに彼女を押し倒して、付き合い始めてまだ数回目のキスをする。彼女はなんとなく素っ気なくて、ぼくはそれがひどく気に入らなかった。
「……ねぇなまえちゃん、今、きみは何を考えてるの?」
「え?」
「もしかして何も考えてない? ……ぼくはきみのことで頭がいっぱいなんだけどね。きみはそうじゃないみたい」
彼女の頬を撫でて反応を窺うと、彼女は軽く微笑んだ。まるでなんでもないことみたいに笑って、その柔らかい手のひらでぼくの髪を撫でる。
「今さら緊張なんてしないよ」
「……そう?」
「だって身体を重ねるだけでしょ」
「だけ?」
ぼくの髪を撫でていたその手を掴み、わざと乱暴に枕元に押さえつける。彼女の空っぽの瞳が微かに揺れた。
「……私は、その……日和くんがちゃんと気持ちいいって思ってくれるならそれだけで嬉しいよ」
「ふぅん、きみの愛って随分控えめなんだね」
「そんなこと、」
「少なくともぼくの愛に比べたらずっと控えめだし、そもそもぼく、献身的な愛なんてきみに求めてないんだけど?」
ぼくは彼女の意識を逃がさないように、その瞳をまっすぐ見つめていた。その瞳孔から小さな頭のなかに入り込むように。彼女のすべてがぼくに犯されてしまうように。彼女は案の定視線を逸らせず、ただ、少し不安げな表情でぼくを見つめ返していた。
「わかってないみたいだから言葉にしてあげるね。……今からするのはただの交尾なんかじゃない。きみの身体の内側も外側も、心も、きみの全部をぼくの愛で満たすために肌に触れるの。きみは今からぼくのことしか考えられなくなっちゃうからね。死ぬまでずっと。だから……」
彼女の細い喉を、鎖骨を、胸もとを指先でなぞって、不意に口を噤む。だから逃げるなら今のうちだね、って言ってあげようと思ったのに、彼女の顔がみるみるうちに真っ赤になっていくものだから。
「……ふふ、でもね。もう逃がしてあげない」
「ひ、日和くん、待って」
「待たないね♪」
りんごのように熟れた頬に触れて唇を重ねる。熱い体温を分け合って毒を流し込むように深くキスをした。――こんなにも必死に心を通わせる行為が「身体を重ねるだけ」なんて、そんなはずがないのにね。
ホテルの真っ白なシーツに彼女を押し倒して、付き合い始めてまだ数回目のキスをする。彼女はなんとなく素っ気なくて、ぼくはそれがひどく気に入らなかった。
「……ねぇなまえちゃん、今、きみは何を考えてるの?」
「え?」
「もしかして何も考えてない? ……ぼくはきみのことで頭がいっぱいなんだけどね。きみはそうじゃないみたい」
彼女の頬を撫でて反応を窺うと、彼女は軽く微笑んだ。まるでなんでもないことみたいに笑って、その柔らかい手のひらでぼくの髪を撫でる。
「今さら緊張なんてしないよ」
「……そう?」
「だって身体を重ねるだけでしょ」
「だけ?」
ぼくの髪を撫でていたその手を掴み、わざと乱暴に枕元に押さえつける。彼女の空っぽの瞳が微かに揺れた。
「……私は、その……日和くんがちゃんと気持ちいいって思ってくれるならそれだけで嬉しいよ」
「ふぅん、きみの愛って随分控えめなんだね」
「そんなこと、」
「少なくともぼくの愛に比べたらずっと控えめだし、そもそもぼく、献身的な愛なんてきみに求めてないんだけど?」
ぼくは彼女の意識を逃がさないように、その瞳をまっすぐ見つめていた。その瞳孔から小さな頭のなかに入り込むように。彼女のすべてがぼくに犯されてしまうように。彼女は案の定視線を逸らせず、ただ、少し不安げな表情でぼくを見つめ返していた。
「わかってないみたいだから言葉にしてあげるね。……今からするのはただの交尾なんかじゃない。きみの身体の内側も外側も、心も、きみの全部をぼくの愛で満たすために肌に触れるの。きみは今からぼくのことしか考えられなくなっちゃうからね。死ぬまでずっと。だから……」
彼女の細い喉を、鎖骨を、胸もとを指先でなぞって、不意に口を噤む。だから逃げるなら今のうちだね、って言ってあげようと思ったのに、彼女の顔がみるみるうちに真っ赤になっていくものだから。
「……ふふ、でもね。もう逃がしてあげない」
「ひ、日和くん、待って」
「待たないね♪」
りんごのように熟れた頬に触れて唇を重ねる。熱い体温を分け合って毒を流し込むように深くキスをした。――こんなにも必死に心を通わせる行為が「身体を重ねるだけ」なんて、そんなはずがないのにね。