Came for you
ピンポン、とインターホンを押したのとほぼ同時に、勢いよく玄関が開いた。予想していたよりもずっと目を輝かせている晃牙くんに挨拶をしようとすると、奥からこれまた勢いよくレオンくんが駆けつけてきた。
「レオンくんっ!」
「うおッ!?」
玄関に入って靴も脱がずにしゃがみこみ、しっぽをブンブン振っているレオンくんを両手で迎える。よしよしと撫でくりまわしていると、ちょっと不機嫌そうになった晃牙くんが口をとがらせた。
「おい、玄関で遊んでね〜で早く上がれよ」
「あっうん、お邪魔します」
レオンくんから手を離して靴を脱ぎ、晃牙くんの後ろをついて行く。リビングに行ってソファへ腰を下ろせば、レオンくんがすかさず膝のうえに乗ってきた。愛しいもふもふを撫でていると、晃牙くんがお茶を持ってキッチンから戻ってきた。
「……ほんと、テメ〜はレオンに懐かれてんな」
「えへへ、そうみたい。でも人懐こいよね、レオンくん」
「そ〜だな」
――今日は、晃牙くんから連絡が来て、仕事終わりにまっすぐここへ来た。珍しく明日のオフが被ったから多分今日は泊まっていくことになるだろう。でも前に会ってから少し間が空いたから、なんとなくそういう雰囲気になってしまうのが気恥ずかしく思えた。だから甘えてくるレオンくんに私も甘えて、ちょっと晃牙くんから目を背けていた。
「…………なァ、なまえ」
「うん?」
「……テメ〜はレオンに会いに来たのかよ。呼んだのは俺様だろ……」
「えっ」
あからさまに寂しそうな声を出されて、思わず隣に腰かけた晃牙くんのほうを見てしまった。晃牙くんはソファの肘掛けに肘をついて向こうを向いていたけれど、癖毛の間から見えた耳はほんのり赤くなっていた。その不器用さがあまりにも愛おしくて、思わず私まで顔が熱くなってしまう。
そっとレオンくんを膝から下ろし、晃牙くんの肩を叩く。
「レオンくんにも会えて嬉しいけど、晃牙くんに会いたくて来たんだよ。……ね、こっち向いて」
「ン……」
まだちょっと納得してなさそうな顔に優しくキスをして頭を撫でる。すると晃牙くんは何が気に入らなかったのか、私の肩を掴んでソファに押し倒してきた。
「俺様は犬じゃね〜、撫でんな!」
「ふふ、わかってるよ。でも好きだから触りたいなって思っちゃうんだもん」
「ぐ……そ、そ〜かよ」
照れちゃって可愛いなぁ、と思うのと同時に、ホッと胸を撫で下ろした。さっきまではあんなにぎこちなく緊張してしまっていたけれど、晃牙くんが素直に甘えてくれたおかげで今はちっともぎこちなさなんて感じない。それどころかもう目の前の晃牙くんから目を離せなくなってしまった。構ってあげられないレオンくんにはちょっと申し訳ないけれど。