「……雪だ」

 朝、寝室のカーテンを少しだけ開ければ、外は一面の銀世界だった。カラカラと窓を開けてみると冷たい空気が部屋に流れ込み、吐く息は真っ白に染まった。私が外の雪に見入っていると、ベッドで眠っていた彼女がもぞもぞと身動ぎをした。

「ん……凪砂くん……?」
「ああ、ごめんね。寒かったよね」

すぐに窓を閉じて、私が寝そべっていたスペースにもう一度横たわる。彼女は半裸のまま暖を取ろうと私の方へ寄ってきた。雪のように白い肌にそっと触れると、彼女はぴくりと肩を跳ねさせる。

「冷たい……」
「あ……ごめんね、冷えちゃったみたいだ」
「んん」

冷たいなら触れずにいようと手を引っ込めたけれど、彼女は自分から私の身体にぴったりくっついてきた。そしてしばらくちょうどいい位置を探してもぞもぞ動いてから、ようやく満足そうに顔を上げた。まだ眠たげな瞳と目が合う。

「んはよ、凪砂くん。……おそと、どうかした?」
「おはよう。うん、雪が積もっているんだ。とても綺麗だったから、つい窓を開けちゃった」
「雪……そっか。ふふ、いいねぇ、ホワイトクリスマスだね」
「…………そう、そうだね。本当だ」

 ちらりと部屋のなかのカレンダーを見る。そういえば今日はクリスマスだった。最近ずっと忙しかったし、昨晩もクリスマスなんてちっとも考えず彼女を求めてしまったからすっかり忘れていた。

「冷えちゃった……ね」

彼女は眠たげにそう言って、私の手を包み込む。そして無意識か否か、包み込んだ私の手を胸もとにくっつけた。とくん、とくん、と規則正しい心音が伝わってくる。

「……もう少し眠る?」
「ん……ごめんね……」
「ううん、おやすみ」

もう目を開けていられないらしい彼女の瞼にキスをして、私もそっと目を瞑る。

 こんな年齢になって、クリスマスの朝がこんなにも幸せに感じられるとは思ってもみなかった。いつもと少し違う朝に幸福をもたらしてくれた彼女は、果たして私にとってサンタさんなのだろうか、それともプレゼントなのだろうか。