後悔という言葉ほど皮肉なものはないと、つくづく思う。悔やむのはいつもすべてが起こったあとで、後悔する頃には何もかも手遅れなのだ。

いつも心の底から後悔して、今後同じ過ちを繰り返さないよう気をつけようと毎度思うくせに、ことお酒に関しては何度も同じことを繰り返してしまう。

 現在の私はというと、夜中、人のいない公園のベンチに腰を下ろし、ひとりで吐き気が治まるのをじっと待っている。それもこれも友人との食事で楽しさにかまけてお酒を飲みすぎてしまったせいだ。

(どうしよ……歩けない)

ぼんやり公園の地面を見つめていると、不意にポッケに入れていたスマホが震えた。朦朧としながら画面を確認すると、紅郎くんから電話が掛かってきていた。あまりよく考えずに電話に出る。

「もしもし……」
「おう、大丈夫か? 中々帰って来ねえから心配になってよ。まぁダチんとこ泊まるならそれで良いんだが」
「あ〜……いや、もう解散したんだけど……あの、怒らないでほしいんだけど、飲みすぎちゃって、今公園で休んでて」
「……どこの公園だ?」

 電話越しに彼の声色が変わったのがわかった。やっぱり怒られるかぁ、としょぼくれながら、現在位置を伝える。

「わかった、今すぐ行くから待ってろ。通話は繋げといていいか?」
「うん、ごめん、ありがと……」
「なるべく明るいとこに居てくれよ」
「うん」

 紅郎くんは、電話で今日の友人との食事について聞いてくれた。私がたどたどしく楽しかった時間について話すたび、彼は微笑ましげにくすっと笑ってくれるのだ。そうして話をしていると、ものの二十分程度で彼は公園に現れた。

「紅郎くん」
「待たせたな。歩けるか? 一応水も買ってきたんだが」
「ありがと、ごめんね、ほんとに」
「まぁ気をつけてほしいところではあるが、その様子だと結構反省してんだろ。ならわざわざお小言は言わねぇよ」

大きな手がわしわしと私の頭を撫でる。その温度が心地よくて、それと同時に申し訳なくて、じわりと視界が滲んだ。

「よしよし、今日は飲みすぎちまうくらい楽しかったんだろ? せっかくなら楽しい一日で終わろうぜ」
「紅郎くん……だいすき……」
「ハハ、ありがとよ」

 ペットボトルの水を受け取り、ごくごくと半分ほど一気に飲んでから紅郎くんの手を取った。ぎゅっと手を握って立ち上がり、ふらつきながらも歩き出す。ちらりと彼の顔を見上げると、優しい顔で苦笑していた。