休日は贅沢に
ズキズキとちょっとずつ、ちょっとずつ痛みが頭を覆う。けれど耐えられないほど痛いというわけでもないので、特にそれについて何かしたり言ったりすることはなかった。
頭の奥に響く痛みがだんだん無視できないものになっていることに気が付きながらも、どうせすぐ治るだろうと高をくくって黙っていた。
「……ねぇ、ねぇってば! ちゃんと聞いてる?」
「んゎ、ご、ごめん。ぼーっとしちゃってた」
隣同士でソファに腰掛けておしゃべりをしていた日和くんが、私の肩を軽く揺さぶるので我に返った。誤魔化すように笑って謝ると、彼は水晶のような瞳で私をジッと観察する。
「どこか痛むの? それとも寝不足?」
「う……ううん、眠れてるよ」
「どこか痛むんだね。頭痛?」
「……えぇと、」
「そっか。気圧のせいじゃなさそうだけど、どうしてだろうね?」
私が明確に答えるより前に、日和くんは私の反応や様子を見て的確に私の現状を言い当ててしまう。私の頭を撫でてソファから立ち上がると、引き出しに入れてあった頭痛薬を手に取って戻ってきた。
「紅茶は……うんうん、まだ残ってるね。はい、ごっくんしようね♪」
「ごっくんって。赤ちゃんじゃないんだから……」
「ふふ。たまにはこうして、きみのお世話をしてあげるのも楽しいね? ほら、あーん」
「もう」
なんだか照れくさくはありつつも、言われるがまま、鳥のヒナのように小さく口を開けた。すると日和くんは取り出した頭痛薬と紅茶を自分の口にふくみ、すかさず私のくちびるに自分のくちびるを押し当ててきた。
紅茶がこぼれてしまわないよう慎重に、器用に口を開けて、錠剤と紅茶を少しずつ分け与えられる。その瞬間だけは頭痛のことも頭の隅に追いやられていた。
「……ふふっ、ちゃんと飲めてえらいね。それじゃ、今日はもう横になって休もうね」
「う……うん」
なんだか頭がぼんやりしていた。日和くんに手を引かれるままとぼとぼと寝室に向かい、ベッドに横たえられる。日和くんは寝室を真っ暗にすると、当然のように私の隣へ寝そべった。ふわりと花のような優しい香りがする。
「日和くん……ティーカップとか、片付けなきゃ」
「そんなの後でいいね」
「……せっかくのお休みなのに、寝てたらもったいないよ。日和くんとたくさんおしゃべりできるのに」
「そうだね、うん、じゃあぼくがたくさんお話してあげるから、きみは目を瞑っていてね」
囁きかけるような声色に、だんだん瞼が重くなってくる。彼に言われたとおり目を閉じると、読み聞かせをする母親のようにお話を聞かせてくれた。
「どんなお話が良いかな。あっそうそう、昨日凪砂くんがね…………」
最初は彼のお話に「うん、うん」と相槌をうっていたのだけれど、すぐに深い眠りに落ちてしまった。次に気がつくと、カーテンの隙間からは夕陽が差し込み、部屋はうっすら明るく見えた。頭痛はすっかり消え去っている。
すぐ目の前では、一緒に添い寝をしてくれていた日和くんがすやすやと幸せそうに眠っているのだった。時間を無駄にしたくなかったけれど、案外こんな休日も悪くないのかもしれない。
頭の奥に響く痛みがだんだん無視できないものになっていることに気が付きながらも、どうせすぐ治るだろうと高をくくって黙っていた。
「……ねぇ、ねぇってば! ちゃんと聞いてる?」
「んゎ、ご、ごめん。ぼーっとしちゃってた」
隣同士でソファに腰掛けておしゃべりをしていた日和くんが、私の肩を軽く揺さぶるので我に返った。誤魔化すように笑って謝ると、彼は水晶のような瞳で私をジッと観察する。
「どこか痛むの? それとも寝不足?」
「う……ううん、眠れてるよ」
「どこか痛むんだね。頭痛?」
「……えぇと、」
「そっか。気圧のせいじゃなさそうだけど、どうしてだろうね?」
私が明確に答えるより前に、日和くんは私の反応や様子を見て的確に私の現状を言い当ててしまう。私の頭を撫でてソファから立ち上がると、引き出しに入れてあった頭痛薬を手に取って戻ってきた。
「紅茶は……うんうん、まだ残ってるね。はい、ごっくんしようね♪」
「ごっくんって。赤ちゃんじゃないんだから……」
「ふふ。たまにはこうして、きみのお世話をしてあげるのも楽しいね? ほら、あーん」
「もう」
なんだか照れくさくはありつつも、言われるがまま、鳥のヒナのように小さく口を開けた。すると日和くんは取り出した頭痛薬と紅茶を自分の口にふくみ、すかさず私のくちびるに自分のくちびるを押し当ててきた。
紅茶がこぼれてしまわないよう慎重に、器用に口を開けて、錠剤と紅茶を少しずつ分け与えられる。その瞬間だけは頭痛のことも頭の隅に追いやられていた。
「……ふふっ、ちゃんと飲めてえらいね。それじゃ、今日はもう横になって休もうね」
「う……うん」
なんだか頭がぼんやりしていた。日和くんに手を引かれるままとぼとぼと寝室に向かい、ベッドに横たえられる。日和くんは寝室を真っ暗にすると、当然のように私の隣へ寝そべった。ふわりと花のような優しい香りがする。
「日和くん……ティーカップとか、片付けなきゃ」
「そんなの後でいいね」
「……せっかくのお休みなのに、寝てたらもったいないよ。日和くんとたくさんおしゃべりできるのに」
「そうだね、うん、じゃあぼくがたくさんお話してあげるから、きみは目を瞑っていてね」
囁きかけるような声色に、だんだん瞼が重くなってくる。彼に言われたとおり目を閉じると、読み聞かせをする母親のようにお話を聞かせてくれた。
「どんなお話が良いかな。あっそうそう、昨日凪砂くんがね…………」
最初は彼のお話に「うん、うん」と相槌をうっていたのだけれど、すぐに深い眠りに落ちてしまった。次に気がつくと、カーテンの隙間からは夕陽が差し込み、部屋はうっすら明るく見えた。頭痛はすっかり消え去っている。
すぐ目の前では、一緒に添い寝をしてくれていた日和くんがすやすやと幸せそうに眠っているのだった。時間を無駄にしたくなかったけれど、案外こんな休日も悪くないのかもしれない。