花のきみ
※花吐き病ネタ
※英智→夢主→渉
「あ、っ」
ぼたぼた、と、重苦しい音で、僕の足元に花弁が落ちる。彼女が床に膝をついて苦しげに喘ぎながら花弁を吐き出すのを、僕はただ、じっと見下ろしていた。
「……なまえ」
「ごめ、……ごめんなさ、……」
ちら、と窓の外を見ると、渉が後輩相手に薔薇を散らかしている。膝をついて彼女の背をさすると、彼女は泣きながら何度も僕に謝った。
「大丈夫だよ。なまえ、僕を見て」
「……英智さん、わたし」
「うん、僕の名前を呼んで……深呼吸して、大丈夫だからね」
彼女の瞳に僕だけをうつしても、彼女は苦しげに顔を歪める。こんなに美しい花も、今はただ吐瀉物として汚らしく彼女を蝕むことしかできない。鮮やかな薔薇は彼女の喉を引き裂いて、その花弁を真っ赤に染めている。
「英智さん、だめ、っ」
小さな唇を濡らして、また花弁が彼女のスカートを汚す。どうにか彼女の苦しみを取り除きたくて、彼女の頬に手を当て唇を塞いだ。
「……や、っ」
彼女の花は僕を拒む。床に手をつくと、彼女の吐いた薔薇の棘が指を引っ掻いた。優しいキスも、暖かな手も、きっと僕では到底足りないのだ。
それでも、僕の汚い血で彼女の清純な思いを汚したくて、彼女をそのまま床に押し倒した。噛み付くようにキスをして、熱い舌を絡めて、貪るように生を実感する。
彼女が渉を好きなのは知っていた。彼に僕が敵うはずもないのも、知っていた。でも、どうしても手を伸ばさずにはいられないのだ。
きみの吐く花弁のひとひらすらこんなに愛おしいのに、どうして、きみは僕を見てくれないのだろうね。
「……お願い、僕だけを見て……」
みっともなく吐いた言葉は、虚しく宙に溶けて、消えてしまうだけだった。彼女の視線すら奪えないまま、また花弁だけが増えていく。
※英智→夢主→渉
「あ、っ」
ぼたぼた、と、重苦しい音で、僕の足元に花弁が落ちる。彼女が床に膝をついて苦しげに喘ぎながら花弁を吐き出すのを、僕はただ、じっと見下ろしていた。
「……なまえ」
「ごめ、……ごめんなさ、……」
ちら、と窓の外を見ると、渉が後輩相手に薔薇を散らかしている。膝をついて彼女の背をさすると、彼女は泣きながら何度も僕に謝った。
「大丈夫だよ。なまえ、僕を見て」
「……英智さん、わたし」
「うん、僕の名前を呼んで……深呼吸して、大丈夫だからね」
彼女の瞳に僕だけをうつしても、彼女は苦しげに顔を歪める。こんなに美しい花も、今はただ吐瀉物として汚らしく彼女を蝕むことしかできない。鮮やかな薔薇は彼女の喉を引き裂いて、その花弁を真っ赤に染めている。
「英智さん、だめ、っ」
小さな唇を濡らして、また花弁が彼女のスカートを汚す。どうにか彼女の苦しみを取り除きたくて、彼女の頬に手を当て唇を塞いだ。
「……や、っ」
彼女の花は僕を拒む。床に手をつくと、彼女の吐いた薔薇の棘が指を引っ掻いた。優しいキスも、暖かな手も、きっと僕では到底足りないのだ。
それでも、僕の汚い血で彼女の清純な思いを汚したくて、彼女をそのまま床に押し倒した。噛み付くようにキスをして、熱い舌を絡めて、貪るように生を実感する。
彼女が渉を好きなのは知っていた。彼に僕が敵うはずもないのも、知っていた。でも、どうしても手を伸ばさずにはいられないのだ。
きみの吐く花弁のひとひらすらこんなに愛おしいのに、どうして、きみは僕を見てくれないのだろうね。
「……お願い、僕だけを見て……」
みっともなく吐いた言葉は、虚しく宙に溶けて、消えてしまうだけだった。彼女の視線すら奪えないまま、また花弁だけが増えていく。