Beside You
お腹の奥に魔物が棲んでいるみたいだ……と、暗闇の中でそんなくだらないことを思い浮かべた。目を閉じて黙っていても、ずうっとお腹の奥底をグルグル渦巻く何かがいる。それは蠢くたびに嫌な記憶を私に想起させるから、目を閉じていればいるほど嫌なことが意識を支配して眠れなくなる。
「……はあ」
「おや、夜更かしさんじゃのう」
「っわ、零」
溜め息をついて目を開けると、暗闇に浮かぶ紅い瞳と目が合った。彼はその鋭い目を細めて、するりと私のベッドへ潜り込む。そうしてその二本の腕で私をがっちりと捕まえ、ぬいぐるみでも扱うかのように私の頭へ頬擦りをした。
「眠れないのかや?」
わかりきった問いに黙って頷く。彼は冷たい指先で私の輪郭を確かめるように、頬、顎、首筋を優しく撫でる。そして私の額にキスをすると、また口を開いた。
「夜が怖いのかえ?」
「ううん。ちっとも」
「ではどうしてそんなに不安そうな顔をしておるのかのう」
彼はまるでこの暗闇の中でも全てが鮮明に見えているかのようにそう言った。その言葉でようやく、自分が少し目を細めて眉間にシワを寄せていたことに気がつく。
「……夜が怖いんじゃないの。ただ、嫌なことをずっと考えちゃうだけ」
「なるほど」
体全体に伝わる体温はじんわりと腹の奥の魔物を殺してしまう。彼が私の頭を自分の胸板へ優しく押しつけると、胸がほどけていくのを感じた。
「ではせめて気が紛れるよう、子守唄でもうたってやろうかの」
「ふふ、なにうたうの?」
「では聴いておくれ、一曲目はMelody in the Dark」
「絶対寝れないやつじゃん」
くすくす笑って彼の胸もとへ擦り寄る。彼が音を発するたび、胸から低い振動が伝わってきた。それがなんだか心地よくて、だんだん眠気が襲ってくる。
「……おぬしの頭が我輩でいっぱいになってくれたら、解決しそうな気がするんじゃが……まぁ、今後はいつでも呼んでおくれ」
「ん……」
とろけた意識の中で微かに声を発して、そのままゆっくりと夢の世界へ落ちていった。朧気で幸福な夢の中では、いつでも隣に彼がいる。
「……はあ」
「おや、夜更かしさんじゃのう」
「っわ、零」
溜め息をついて目を開けると、暗闇に浮かぶ紅い瞳と目が合った。彼はその鋭い目を細めて、するりと私のベッドへ潜り込む。そうしてその二本の腕で私をがっちりと捕まえ、ぬいぐるみでも扱うかのように私の頭へ頬擦りをした。
「眠れないのかや?」
わかりきった問いに黙って頷く。彼は冷たい指先で私の輪郭を確かめるように、頬、顎、首筋を優しく撫でる。そして私の額にキスをすると、また口を開いた。
「夜が怖いのかえ?」
「ううん。ちっとも」
「ではどうしてそんなに不安そうな顔をしておるのかのう」
彼はまるでこの暗闇の中でも全てが鮮明に見えているかのようにそう言った。その言葉でようやく、自分が少し目を細めて眉間にシワを寄せていたことに気がつく。
「……夜が怖いんじゃないの。ただ、嫌なことをずっと考えちゃうだけ」
「なるほど」
体全体に伝わる体温はじんわりと腹の奥の魔物を殺してしまう。彼が私の頭を自分の胸板へ優しく押しつけると、胸がほどけていくのを感じた。
「ではせめて気が紛れるよう、子守唄でもうたってやろうかの」
「ふふ、なにうたうの?」
「では聴いておくれ、一曲目はMelody in the Dark」
「絶対寝れないやつじゃん」
くすくす笑って彼の胸もとへ擦り寄る。彼が音を発するたび、胸から低い振動が伝わってきた。それがなんだか心地よくて、だんだん眠気が襲ってくる。
「……おぬしの頭が我輩でいっぱいになってくれたら、解決しそうな気がするんじゃが……まぁ、今後はいつでも呼んでおくれ」
「ん……」
とろけた意識の中で微かに声を発して、そのままゆっくりと夢の世界へ落ちていった。朧気で幸福な夢の中では、いつでも隣に彼がいる。