「そろそろ梅雨入りだね」

夜、ソファに座ってぼんやりとテレビを見ながら何気なく呟いた。凛月はお揃いのマグカップにホットミルクをいれて持ってくると、ぼすんと私の隣に腰掛け、肩に頭を預けてきた。

「ふぅん、そうなんだ。……セッちゃんの髪がうねる時期か」
「そうなの?」
「うん。まぁケアしてるからそんなに面白いことにはなんないんだけどね」
「……凛月はいつもさらさらだよね」

彼の触り心地の良い髪にそっと頬擦りをしてみる。すると凛月は顔を上げてにんまりと笑い、私の頬にキスをしてきた。

「ふふん、撫でたかったら撫でてもいいよ?」
「え〜……じゃあありがたく……」

何故か得意げな彼に苦笑しつつ、その頭に手を置いて丁寧に髪を撫でる。彼の髪は一本一本が細く、きちんとツヤがあり、なんだか良い香りもする。しばらく夢中で撫でていると、飽きてしまったのか凛月は私の手を取った。

「じゃ、今度は俺の番ね」

凛月はさっきまで頭を撫でていた私の手の甲にくちびるを当ててから、今度は私の頭を優しく撫で始めた。その手つきがあんまり優しくて、なんだか撫でられているだけなのに照れて赤くなってしまう。そんな私を見て凛月はくすくす笑った。

「ふふ、こんなので今更何照れてるの? 可愛いなぁ♪」

 私が何にも言い返せずにいると、凛月はますます楽しそうな顔をして頭を撫でていた手を頬まで下ろしてきた。そして熱くなった頬を冷たい手のひらでそっと撫で、くちびるにキスをする。何度も啄むようなキスをして、凛月は満足そうに微笑んだ。

「なんか楽しくなってきちゃったかも。ねぇなまえ、今日は夜更かししてもいい?」
「う……うん、良いよ」
「ありがと」

凛月は最後に私の横髪を耳にかけて顔を離した。それからテーブルに置いていたマグカップを持ち上げ、私に視線を寄越す。

「これ飲んだら、ベッド行こっか」
「ん、うん」

飲み終えたらと思いながら飲むホットミルクはなんだかいつもより熱くて甘くて、飲み終えるまでに時間がかかってしまった。私がふぅふぅと冷ましながらゆっくり飲むのを、凛月は隣で愛おしげに目を細めて見つめていた。