ロッカーにて
「うん? ……うん? あれ? おぬし何しておるんじゃ」
目覚めると腕の中にはあたたかく小さな体温があったので、一瞬まだ夢を見ているのかと思った。しかし反射的に抱きしめ直したその身体の柔らかさはあまりに鮮明で、驚き目をぱちくりさせてしまう。
「さ……朔間先輩、やっと起きたんですか……。もう勘弁してください、出して、」
「うん……? あれっここ棺桶ではないのかえ? なにここ、ロッカー? 全然状況が掴めんのじゃけど……?」
俺がガコガコと身を捩って開け口らしきところを押してみても、何か突っかかっているのか開かない。諦めて一旦大人しくすると、彼女は小さな声を頼りなげに震わせながら経緯を話してくれた。
「朔間先輩がしんどそうにふらふらしてたから、肩を貸して棺桶まで連れて来たんです。でもそしたらよっぽど寝ぼけてたのか、棺桶とロッカーを間違えたうえに私も一緒に入らされちゃって……」
「おやまぁ。それはすまんかったのう……そして悪いニュースなんじゃがロッカーが開かぬ」
「嘘でしょ!?」
「ま、まぁまぁいつか開くじゃろ、ちょっ……と動かずにいてくれるとありがたいぞい」
彼女は気づいていないのだろうか。俺の胸板より少し下くらいのところに彼女の胸がしっかりめに当たっている。それに加えて抱き締めた体勢のまま動けずにいたせいで彼女のウエストの細さや華奢さが直に伝わってくる。つまり既に半勃ち状態だった。起き抜けにこんなラッキースケベに遭遇してしまったらEDでもないかぎりそうなるだろう。
「……朔間先輩」
「んッ!? いや違うのじゃこれは生理現象で」
「なんの話です? あの、やっぱりまだ身体つらいですか? 体勢キツかったら寄りかかってもらっても大丈夫ですよ」
「寄りかかっ……いや、大丈夫、大丈夫じゃよ」
誤魔化すようにそう言って視線を逸らし、腰を引く。万が一にも彼女にさとられないよう、頭の中で必死に萎えるようなことを考えた。しかしどうしても目の前の柔らかさには勝てなかった。
「ふふ、朔間先輩でも照れたりするんですか? 耳まっかっかですよ」
不意に彼女がくすくすと笑ったので、思わず彼女のほうを見てしまう。ばっちり目が合うと情けないほど顔が熱くなるのを自覚した。
「忘れられがちじゃけど我輩も健全な男子高校生なので…………好きなおなごとこんなに密着しておったら、照れる」
「…………ん? えっ、あぁ……すみません、私てっきり寝ぼけてたりしたのが恥ずかしくて照れてるのかと……?」
まるで自分の熱が彼女に伝播していくようだった。みるみるうちに彼女の白い頬がりんごのように赤くなる。それを見ているうちに愛おしさが込み上げて、つい、彼女の頬に手を添え唇を奪ってしまった。
「こういう余裕がない感じは、らしくないかのう……? 幻滅するかえ?」
「し、ません……けど、あっ待ってちょっと近い……っ」
「仕方ないじゃろ、出られないんじゃから」
子どもみたいな言い訳をして、彼女をぎゅうっと抱き締める。ズボンの中で硬くなった股間も多分彼女に気づかれてしまっただろう。それでもどうせなら欲望のままに彼女を抱き締めていたかった。
「……っ朔間先輩? ちょっと……こ、ここ学校ですよ」
「知らん」
彼女の脚の間に膝を割り込ませ、スカートの裾から彼女の太ももを手のひらで撫でる。そしてその首筋にかぷりと噛み付いたとき、ガン! とロッカーを蹴る音がした。
「オイ吸血鬼ヤロ〜ッ! ここにいんのはわかってんだぞ! 出て来いこのタコス!!」
「チッ……わんこか」
「あっ晃牙くん! 晃牙くん助けてっ開けて! ロッカー壊れてて開かないの!」
彼女が声を上げてそう言うと、もう俺も彼女から手や口を離すしかなかった。晃牙は文句を言いながら力尽くでロッカーをこじ開ける。
「なんでテメ〜まで一緒にいるんだよ!? クソ、だから匂いがわかりづらかったのか……まァい〜や、おい吸血鬼ヤロ〜、今日はレッスンだっつってただろ! 早く来い!」
「嫌じゃ! もうこうなったら棺桶で第二ラウンドするしかないのじゃっ、ほれおいで、優しくするからの♪」
「だ、第二ラウンドってことはヤられちまったのか……?」
「ちょっとやめてください名誉毀損で訴えますよ!? 断じてやましいことはしてませんから、晃牙くんこの人早く連れてって!」
結局、わちゃわちゃしているうちに晃牙に引っ張られ、その日彼女と会うことはなかった。勢いで告白したり噛みつこうとしたりしたことについては、反省はしているが後悔はしていない。彼女の反応的にはファーストキスだったのではないだろうか。
その日の夜は身体に当たっていた柔らかさや彼女の真っ赤な顔を思い出しながら健全な男子高校生らしく過ごした。
目覚めると腕の中にはあたたかく小さな体温があったので、一瞬まだ夢を見ているのかと思った。しかし反射的に抱きしめ直したその身体の柔らかさはあまりに鮮明で、驚き目をぱちくりさせてしまう。
「さ……朔間先輩、やっと起きたんですか……。もう勘弁してください、出して、」
「うん……? あれっここ棺桶ではないのかえ? なにここ、ロッカー? 全然状況が掴めんのじゃけど……?」
俺がガコガコと身を捩って開け口らしきところを押してみても、何か突っかかっているのか開かない。諦めて一旦大人しくすると、彼女は小さな声を頼りなげに震わせながら経緯を話してくれた。
「朔間先輩がしんどそうにふらふらしてたから、肩を貸して棺桶まで連れて来たんです。でもそしたらよっぽど寝ぼけてたのか、棺桶とロッカーを間違えたうえに私も一緒に入らされちゃって……」
「おやまぁ。それはすまんかったのう……そして悪いニュースなんじゃがロッカーが開かぬ」
「嘘でしょ!?」
「ま、まぁまぁいつか開くじゃろ、ちょっ……と動かずにいてくれるとありがたいぞい」
彼女は気づいていないのだろうか。俺の胸板より少し下くらいのところに彼女の胸がしっかりめに当たっている。それに加えて抱き締めた体勢のまま動けずにいたせいで彼女のウエストの細さや華奢さが直に伝わってくる。つまり既に半勃ち状態だった。起き抜けにこんなラッキースケベに遭遇してしまったらEDでもないかぎりそうなるだろう。
「……朔間先輩」
「んッ!? いや違うのじゃこれは生理現象で」
「なんの話です? あの、やっぱりまだ身体つらいですか? 体勢キツかったら寄りかかってもらっても大丈夫ですよ」
「寄りかかっ……いや、大丈夫、大丈夫じゃよ」
誤魔化すようにそう言って視線を逸らし、腰を引く。万が一にも彼女にさとられないよう、頭の中で必死に萎えるようなことを考えた。しかしどうしても目の前の柔らかさには勝てなかった。
「ふふ、朔間先輩でも照れたりするんですか? 耳まっかっかですよ」
不意に彼女がくすくすと笑ったので、思わず彼女のほうを見てしまう。ばっちり目が合うと情けないほど顔が熱くなるのを自覚した。
「忘れられがちじゃけど我輩も健全な男子高校生なので…………好きなおなごとこんなに密着しておったら、照れる」
「…………ん? えっ、あぁ……すみません、私てっきり寝ぼけてたりしたのが恥ずかしくて照れてるのかと……?」
まるで自分の熱が彼女に伝播していくようだった。みるみるうちに彼女の白い頬がりんごのように赤くなる。それを見ているうちに愛おしさが込み上げて、つい、彼女の頬に手を添え唇を奪ってしまった。
「こういう余裕がない感じは、らしくないかのう……? 幻滅するかえ?」
「し、ません……けど、あっ待ってちょっと近い……っ」
「仕方ないじゃろ、出られないんじゃから」
子どもみたいな言い訳をして、彼女をぎゅうっと抱き締める。ズボンの中で硬くなった股間も多分彼女に気づかれてしまっただろう。それでもどうせなら欲望のままに彼女を抱き締めていたかった。
「……っ朔間先輩? ちょっと……こ、ここ学校ですよ」
「知らん」
彼女の脚の間に膝を割り込ませ、スカートの裾から彼女の太ももを手のひらで撫でる。そしてその首筋にかぷりと噛み付いたとき、ガン! とロッカーを蹴る音がした。
「オイ吸血鬼ヤロ〜ッ! ここにいんのはわかってんだぞ! 出て来いこのタコス!!」
「チッ……わんこか」
「あっ晃牙くん! 晃牙くん助けてっ開けて! ロッカー壊れてて開かないの!」
彼女が声を上げてそう言うと、もう俺も彼女から手や口を離すしかなかった。晃牙は文句を言いながら力尽くでロッカーをこじ開ける。
「なんでテメ〜まで一緒にいるんだよ!? クソ、だから匂いがわかりづらかったのか……まァい〜や、おい吸血鬼ヤロ〜、今日はレッスンだっつってただろ! 早く来い!」
「嫌じゃ! もうこうなったら棺桶で第二ラウンドするしかないのじゃっ、ほれおいで、優しくするからの♪」
「だ、第二ラウンドってことはヤられちまったのか……?」
「ちょっとやめてください名誉毀損で訴えますよ!? 断じてやましいことはしてませんから、晃牙くんこの人早く連れてって!」
結局、わちゃわちゃしているうちに晃牙に引っ張られ、その日彼女と会うことはなかった。勢いで告白したり噛みつこうとしたりしたことについては、反省はしているが後悔はしていない。彼女の反応的にはファーストキスだったのではないだろうか。
その日の夜は身体に当たっていた柔らかさや彼女の真っ赤な顔を思い出しながら健全な男子高校生らしく過ごした。