「お前の血は何色だー!」
「えっ、どうしたんじゃいきなり……」
「零さんノリ悪い〜! 精神異常者を見るような目で見ないでよお」

真夜中、シーツをポップなお化けのように被った彼女が、ガバッと彼のベッドに上がってきた。

眠れずぼうっと月明かりを見ていた彼は、驚きながらも彼女に微笑みを見せる。彼女が彼の上に跨ると、彼はよしよしと優しく頭を撫でてやった。

「すまんのぅ、して、こんな真夜中にどうしたのじゃ?」
「うん、今日は凛月くんとお昼寝したから、眠れなくなっちゃったの。零さんに子守唄歌ってほしいなって思って」

ごろん、と彼女は彼の上から彼の隣へ体を転がす。彼がシーツを持ち上げ彼女の肩にかけると、あまり寝る気のなさそうな楽しげな目が嬉しそうに細められた。

「吾輩に子守唄を歌わせるとは、いい度胸じゃのう」
「ふふ、恋人の特権だね。贅沢かも」

彼が細い肩に手を置き、そのままさっきとは反対に、彼女の上へ覆い被さるように体を起こす。さら、と緩くウェーブのかかった黒髪が揺れた。彼の指先は、優しく彼女の柔らかな頬を撫でている。

「本当に、寝るだけで良いのかえ?」
「……寝かせないぜ、ってこと?」
「UNDEADは、そういう曲が多いからのう」
「ふふ。でも、私が嫌って言ったらやめてくれるんでしょ? 優しい魔物さんだもんね」

彼女が彼の手に擦り寄ると、彼は少し拗ねたように唇を尖らせる。このまま赤い唇に噛み付いてやってもいいのにそうしないのは、彼にとって彼女があまりに大切すぎるからだ。

「して、お姫さまは、どこまで許してくれるのかのう?」
「んー……おやすみのキスまで」

彼女がねだるまま、彼は触れるだけのキスをする。彼女の気が変わらなさそうなのを見ると、彼は諦めて彼女の隣に寝そべった。

「明日の朝は、なまえが起こしておくれ」
「うん、がんばるね」

彼女が目を閉じたのを見て、彼は彼女の腹のあたりをポンポンと撫でながら、静かに子守唄を歌う。低い声が掠れて、心地よく彼女の鼓膜を揺らした。

とろり、とろりと彼女の意識が溶けていく。眠れないと思っていたわりに、彼女はすぐ眠りについてしまった。彼女の規則正しい寝息が聞こえ始めると、彼は歌うのをやめ、じっと彼女の顔を見つめる。

それから、触れるか触れないかのところでキスをして、おやすみ、と優しく囁いた。