「ちょ……っと、どういうことぉ?」
「ん〜……」

夕方頃、時間が出来たから彼女の家に行くと前もって連絡しておいたのに、彼女はいつものだらしない姿でうたた寝をしていた。床に寝転がっている彼女は眠い目をこすって俺を見上げる。

「泉くん。いらっしゃい」
「いらっしゃいの格好じゃないよねぇ? 俺があげたナイトウェアどこやったわけ?」

暑いのか、彼女は上はキャミソール、下は短パンというなんとも目に毒な格好で白い手脚を放り出していた。

寝るときに決まって服を脱ぐものだから、肌にやさしい生地のナイトウェアを買ってあげたのに、どうやらナイトウェアはその役目を果たしていないらしい。

「ん〜……タンスかなぁ?」
「もぉ〜〜、っていうか床で寝るのやめなよ、夏だからってそんな格好で……はァ、アンタって本当、女子力の女の字もないよねぇ」

荷物を部屋の隅に置いて、寝そべったままの頬をつつく。こんな姿を見せてもらえるくらい信用されてる、と言えば聞こえはいいけれど、なんだか男として見られていないみたいでムカつく。彼女はへらへらバカみたいに笑って、俺の手に擦り寄った。

「……そんな格好で、襲われるかもとか思わないわけ?」
「うーん……襲うなら薄着のほうが楽でしょ?」
「そういうことじゃなくて、」
「だって泉くんのものだもん。別に今更、何されてもいいよ」

平気な顔できっぱり言いきられ、なぜだか俺のほうが恥ずかしくなってしまう。彼女の細い肩を掴んで床に押し付け、そのまま乗りかかるようにしてキスをする。彼女は嬉しそうにふにゃりと微笑んで、俺の首に腕を回した。

「俺のものだって言うなら、それに見合うような振る舞いをしてよねぇ」
「ん〜、それはご主人様がお世話してくれるから……」
「なにそれ、意味わかんない」

くすくす笑いながら、じゃれつくみたいなキスを何度もする。子どもっぽいキスが段々熱を帯びてきて、ふと、彼女の瞳に俺の水色が映っているのが見えた。

ああこの子、俺だけのなんだ……なんてくだらないことを噛み締めながら、彼女の白い肌にそっと手を這わせた。