チュンチュン、と小鳥たちの鳴く声がした。重い瞼を上げて霞む視界を擦ると、すぐそばにまだ深く眠っているらしい彼女が見えた。

二人ともろくに服も着ないまま、シーツにくるまっている。昨日は記念日だったから、盛大にお祝いをして、それから体力が尽きちゃうまで彼女を抱いたんだった。

いつもならぼくより早起きをして朝食を準備する彼女が、今はぼくの胸に寄り添って気持ち良さそうに眠っている。カーテンの隙間から朝日が差し込んで、彼女の黒髪を柔らかく透かしていた。

起こさないように、じっと彼女の寝顔を見つめる。どんな夢を見ているのだろう。長いまつ毛はぴくりとも動かない。ふわりと触り心地の良い髪を撫で、一束髪をすくい、指先で弄ってみる。

起こしちゃいたい、と、思いきって彼女の額に自分の額をくっつける。けれど彼女は目を覚まさない。素足を絡めて、細い腰を抱き寄せても、彼女は唸り声すら上げない。

ぎゅう、と彼女を抱き締めてから、もう一度身体を離して彼女を見つめる。あんまり起きてくれないものだから、なんだか段々もどかしくなってきた。

彼女の肩を仰向けにベッドに押し付け、それから覆い被さるようにして頭の横に手をつく。そっと距離を詰めて、健やかな寝息をたてる桃色の唇にキスをした。

「……んん……?」

そうすると、彼女はようやく眠たげな声をあげた。それがどうにも嬉しくって、何度も、額や唇にキスをした。彼女は眠いままの目を擦り、ぼくの頬を柔らかな両手で捕まえる。

「日和くん……? おはよ……」
「うんうん、おはよう♪ ぼくのキスで起きるなんてお姫さまみたいだね!」
「…………ああ、ごめんね、朝ごはん……」

彼女の手がぼくの頬から離れて落ちていく。代わりにぼくの手を彼女の頬に添えて、親指の腹で優しく頬を撫でた。

「ううん、今日はもう少しこうしていようね」
「うん……」

まだ夢見心地のようで、彼女はまた瞼をおろす。閉じた瞼に唇を寄せると、彼女の隣に身体を沈めた。ぼふん、と少しだけベッドが揺れる。

すると彼女は無意識なのか、ごそごそとぼくのほうへ体を寄せてきた。それが愛おしくって、頬が緩んでしまう。

「ふふ、いい日和……」

そう呟いて、彼女を抱き締める。今日は二人で二度寝なんかをして、沢山二人の時間を満喫したい。白いシーツの中で、二人っきりで。



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