人がわんさかいる食堂だけど、毎週火曜日のお昼は決まった席に座る。というのも、最近仲良くしている子が二限空きコマで、暇だからと席を取っておいてくれるのだ。

彼女はなんだかボーッとしたひとで、同い年なのにRa*bitsの皆を見てる時みたいな気持ちになる。いわゆる天然な子だ。

食堂でいつもの席に行こうとすると、彼女が男と話してるのが見えた。知り合いかな、と近くまで行くけれど、どうやらナンパらしい。

「ここ座っていい? あとラインとかやってる?」
「友だちと待ち合わせなので、ごめんなさい……えぇと……」

困っている彼女を見て、咄嗟に間へ割り込んだ。男のほうを睨みつけながら、なるべく低めの声をつくる。

「この子に何か用か?」
「え……男……? あーいや、なんでもないっす」

分が悪いとわかったのか、男はそそくさと逃げていった。緊張で心臓がばくばくしている。彼女のほうを見ると、驚いたような顔でおれを見つめていた。

「なずなくん」
「ええと……おっ、遅くなってごめんにゃ、だいりょうぶかっ」

思いきり噛んでしまって、あまりの恥ずかしさに顔が熱くなる。かっこ悪いところを見せてしまったのに、彼女は安心したように笑ってくれた。

「大丈夫だよ。ありがとう、なずなくん」
「う〜〜……かっこ悪いな、おれ」

彼女の向かい側の席に腰を下ろす。最後までかっこよくきめたかったのに、中々上手くいかない。

「……なずなくんはかっこいいよ、助けてくれてありがとね」

でも、彼女にそう言われるだけで、かっこ悪い自分の情けなさも後悔も吹き飛んでしまう。照れて顔が赤くなってしまうのはやっぱりちょっとかっこ悪いけど、でも目の前の彼女が無事ならいいか、なんて溜め息をついた。