愛するものは傍に置いて、大事に見つめていたい。なんだってそう。家具、服、アクセサリー、それから、大事な人も。自分のそういう性分は充分自覚していた。けれど、彼女にはなんだか、違う気がした。

彼女はぼくの恋人だ。愛しているから、勿論今まで通り傍において目一杯可愛がっている。ぼくが愛を囁くと、彼女はいつも恥ずかしそうに笑って、私も、なんて鈴のような声で返事をするのだ。

真っ白なワンピースみたいな女の子だった。だからきっとぼくは、その純白が他の誰かに汚されてしまうのが怖いのだろう。

「今日は、何をしてたの?」

眠る前のベッドの中、彼女の髪を撫でながら一日の行動を訊ねるのが日課だ。彼女は眠たげに目を蕩けさせ、幼子のようにぽつりぽつりと今日あったことを話してくれる。

「今日はね……買い物に行ったの、そしたらジュンくんと会って……せっかくだからってカフェに行って、日和さんの話を沢山したよ」
「……ジュンくんに会ったの?」

彼女の話を聞いて、髪を撫でていた手を止める。彼女は不思議に思ったのか、顔を上げてぼくの顔を見た。

「うん、」
「会って、二人でカフェに入ったんだ」

うん、と彼女は少し不安そうに頷く。ぼくはきっと冷たい顔をしていたことだろう。彼女の細い肩をベッドに抑え、覆い被さるように上半身を起こす。

「……だめ。たとえジュンくんでも、二人っきりでカフェなんて……ねぇなまえ、きみはぼくのものだよね」

桃色の唇に囁いて、そっと自分の唇を重ねる。彼女はぼくの肩に手を置いて、少しだけ微笑んだ。

「うん、日和さんのだよ」
「うんうん。なら、ぼくだけのものでいてね、お願い……沢山愛してあげるから、他の誰かになんて触らせないで……そうでなきゃ、ぼく、きみのこと殺しちゃうからね」

脅迫めいた愛の言葉で彼女の鼓膜を揺らす。彼女はただ受け入れるような穏やかな微笑を浮かべて、ぼくの頭を撫でてくれた。その開けた肩口に頭をうずめて、白いデコルテにひとつ、ふたつ、キスマークを残す。

「愛してるね、なまえのことは特別」

彼女の純白を彩っていいのは、ぼくだけ。彼女の指先や髪のほんの一本でさえ、触れていいのはぼくだけ。彼女の網膜に映るのも、眩い笑顔を向けられるのも、可愛らしい声を聞くのも、全部全部ぼくだけにゆるされたもの。

……本当にそうできたらどんなに幸せだろうね。

優しく額にキスをして、彼女の隣にごろりと体を沈めた。そして今夜も、胸の奥に何かを詰まらせたまま、彼女の体を抱き寄せる。

いっそこのまま何もかも失って、光も音もない場所で、輪郭すら持たずにきみとひとつになれたらいいのに。

……そんな空想に思いを馳せながら、今日も二人で眠りにつく。



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