すぅーっ
「せんぱあぁーーい!卒業おめでとうございまあぁーーす!!第二ボタンくださああぁーーーーーい!!!!」
「うっせえ!!」
今日は私の学校の卒業式です。
在校生に見守られながら、
卒業生は校門に向かって歩いていく。
我が校の門出の儀式だ。
それに沿ってオレも校門まで歩いて来てたわけだが、一目散に屋上に向かって引き返す。
つか、なんで屋上いんだよ!
見送れよ!
バンッ
「あ、早かったですね。」
「お前なぁ。なんで屋上なんだよ。」
「先輩を見つけやすいので。」
「それに叫ぶなよ!恥ずかしくねーの?」
「今日は特別ですから。」
「...お前はそーゆーやつだよな。」
ブレない性格にため息がひとつ。
ぞろぞろと校門から出て行く卒業生を見降ろしてる璃黛の隣に並んで、オレもその光景を一緒に眺めた。
明日からここに通うこともない。
柄にもなく、改めて卒業を実感する。
ひしひしと感傷に浸ってたオレの心情を知ってか知らずか、璃黛が口を開いた。
「...明日から先輩いないと思うと淋しくなりますねー」
「...オレは静かになっていいけどな。」
「なにそれひどい。」
「まぁでも、いつもうるさかったのが今日で終わりだと思えば淋しくなるかもな。」
「じゃあ、たまには遊びに来てくださいね。」
「気が向いたらなー」
璃黛は1つ下の後輩で、この2年間ずっとオレに対して分かりやすいくらい好意的だった。
毎日のように告白の嵐。
最初は恥ずかしさから過剰に反応したりしてたものが、慣れとは恐ろしいものでスルースキルが身についた。
そんなやり取りもいつの間にか定番化して、気が付けば本校の名物になったりして。
気持ちを無下にした回数は数知れず。
それでも諦めない璃黛には執念さえ感じる。
それに、なんだかんだオレも好きなのだ。
じゃなきゃ毎回相手なんてしてられない。
「先輩、春から一人暮らしかぁ。」
「まーな。いいだろ。」
「淋しくなったら呼んでくれてもいいですよ?」
「あーうん。つか、ほらよ。」
「あ!ボタン本当にくれるんだ!」
「さっきお前が全校生の前で欲しいっつったじゃねーか。」
「へへ。ありがとうございます。」
そう言って渡されたボタン。
...と鍵?
「先輩、鍵が、」
「...お前にやる。」
「へ?」
「だから、お前にやる。」
「...どういうことですか」
「こーゆーこと。」
璃黛の腕を引いて抱きしめた。
小さい身体がオレの腕にすっぽりと収まる。
「いいか、一回しかいわねーから。」
「...はい」
渡したのはオレが借りた部屋の鍵。
オレにとっての一大イベントの幕開けだ。
答えなんてとっくに分かりきってる。
ノーなんて絶対言わせない。
2年間の返事を、今からきみに告白します。
日常の狭間
2016.07.22了
今からきみに告白します