「はーるちゃん!」

「...璃黛、ちゃん付けやめろ。くっつくな。」

「何してたの?」

「岩鳶ちゃんがグッズ化したから、どれにしようか迷ってた。」

「へぇ〜!この被り物取ってるの可愛い!」

「...じゃあ、これにする。璃黛、今日は凛と一緒じゃないのか?」

「あ、一緒!」


そうだった、と来た方向を振り返るも姿がない。


「...凛ちゃん、迷子みたい?」

「...............」

「ウソ!待ってハルちゃん!迷子は私!」

「ちゃん付けするな。」

「絶対怒ってる!お願い!一緒居て!」

「分かったうるさい。」


レジで会計をする遙に構わず話しかけ続けた結果、どうやら折れてくれたみたいで一安心。

今日は1人なのかと聞けばいつものメンバーと来てるが、今は各自別行動中らしい。


「真琴と一緒じゃないのって珍しいね。」

「そうか?それより凛のこと探さなくていいのか?」

「ハルと一緒だったら見つけてくれそうな気がするから大丈夫だと思うなぁー」

「...面倒なのは嫌だからな。」

「へーきへーき!あ、真琴発見!」


璃黛はそう言って俺の腕を引っ張りながら、真琴の元へと走っていく。


「まっことー!ハル連れて来たよー!」

「え?璃黛?!」

「あー!璃黛ちゃんも来てたんだ!」

「みんな何してたのー?」

「今ね、スカーフ選んでもらってたんだー。ハルちゃんと璃黛ちゃんはどの色が良いと思うー?」


そう言って渚君はギュッと私の左腕にくっ付くと、顔を覗き込みながら私とハルに聞いてきた。

これも良いよねと3人(主に2人)で会話しながら、わちゃわちゃと真剣に選んでいる。


(これ、凛が見たら怒らないかな...)


渚は璃黛の腕にくっ付いて話し、璃黛は遙の腕にくっ付いて話し、遙は璃黛にくっ付かれながらどっかを向いて話しを聞き流している。


(知り合いが見たら変な光景だろうなぁ。)


遠目で見ながらそんなことを思っていると、真琴の視界に見覚えがある人物が映った。
その人物も自分が視界に入ったらしくびっくりした顔をして近づいてきた。


「凛も来てたんだ!」

「ああ。真琴、ハルと一緒か?」

「あ、うん。もしかして璃黛探してる?」

「見かけたか?」

「見かけたって言うか...」


一緒に居るけど...

そういう意味合いも込め笑って指差す。

視線の先の光景はどう映ったのか。
表情を見れば、言わずとも伝わりそうだ。


「璃黛!めちゃくちゃ探したんだけど!」

「リンちゃんも来てたんだー!」

「ほら、ね!やっぱり見つけてくれた!」

「はぁ?」

「ハルと一緒だったら絶対見つけてくれるってさっき話してたんだよー」

「俺は言ってない。」

「それよりリンちゃんリンちゃん!どの色が良いかなぁ?」

「だから渚君はピンク!」

「俺もそう思う。」

「じゃあピンクで良いんじゃねーの?!」

「それより渚は璃黛離して、璃黛はハル離してあげて。凛が怒っちゃうよ。」

「怒んねーよ!」

「リンちゃんソクバクはよくないよ!」

「してねーよ!おい璃黛、こっちこい。」


そう言って凛に手を握られた。
いつも恥ずかしがるのに珍しい。

またね、とみんなに声をかけてその場を後にする。


「凛どうしたの?」

「...別に。スキだらけだから捕まえとく。」

「ふーん。変な凛ちゃん。」

「ちゃん付けすんな。」

「わ、ハルの真似っこ?」

「ちげーよ!」


分かり易いくらいの独占欲。
果たして璃黛には伝わるのか。

付き合う前はいつものこと。
付き合ってからは初めてのこと。

いつも、どこでも、誰にでも、
こいつの性格上分かり切ってることだけど。

あんなに距離が近いんだと思うと、なんだか妬けただなんて恥ずかしすぎて口が裂けても璃黛には言わない。

日常の狭間
2016.07.22了
誰にでもスキだらけ


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