「お兄ちゃん!蘭、璃黛ちゃんと遊びたいー!」

「ずるいー!僕も璃黛ちゃんと遊ぶー!」

「璃黛ちゃんは蘭と遊ぶのー!」

「僕も璃黛ちゃんと遊びたいー!」

「だーめ。璃黛は今日お兄ちゃんと遊ぶの。」

「おにーちゃんずるいー!」

「蓮もー!」

「蘭も璃黛ちゃんと遊びたいー!」

「こら、2人ともちょっと待てって。」







「私って橘家のアイドル的存在なのかも。」

「...何言ってんの。」


真琴のお家にお邪魔するのも、蓮と蘭と遊ぶのも、別にこれが初めてではない。

玄関先での橘兄弟による璃黛争奪戦は、やっぱり真琴が折れるという結果で幕を閉じた。

今は遊び疲れて寝ている蘭を私が抱き、蓮を真琴が抱きかかえている。


「いつもごめんな。蘭、重くない?」

「へーき。蓮も蘭も可愛いし。年の離れた兄弟って羨ましい。」

「璃黛も居なかったっけ?」

「下に年子居るけど2人とも中学生になったし、もうこんな可愛げないよ。蓮と蘭は天使。」

「大袈裟だなぁ」

「ちなみに真琴も天使。」

「はは、何それ。」


そうやって真琴は優しく笑った。
ほら、私の言うこと間違ってなくない?


「先に蓮寝かせてくるからちょっと待ってて。」

「ん、分かったー。」


やっぱり、真琴って優しいなぁ。
私もいつもそんな優しさに甘えっぱなしだ。

それにしても今日は蓮も蘭も一段と元気で、私も楽しくなって全力で遊んでしまった。
疲れたみたいで、若干眠い。


(真琴、まだかなー...)







「ごめん、璃黛お待たせ。...って寝てる?」


中々離さない蓮をベッドに寝かせて部屋に戻って来てみれば、璃黛は器用に蘭を抱いてベッドに寄りかかって眠っていた。

なんだか姉妹みたい。
微笑ましい光景に頬が緩む。

全力で遊んでくれて疲れたんだろうな。


(...それにしても仮にも男の部屋で寝るだなんて、璃黛は無防備すぎだよ。)


男女間の意識が甘いのは重々承知済み。

だけど璃黛は隙だらけだし、見ているこっちはいつもハラハラさせられっぱなしだ。

まぁ、それもそうだ。
俺は璃黛に対して恋愛感情を持ってるのだから。

寝てる姿なんて滅多に見られないし、まじまじと観察してしまう。

よく見れば睫毛長い。
いつも忙しない唇は閉じている。

見慣れない姿からか、
なんだか心臓がドキドキ五月蝿い。


「...璃黛、好きだよ。」


額に軽くキスをした。

後にハッとする。
寝てるのをいいことに魔が差した。

無意識に口走った上にキスだなんて。
自分の行動を振り返ってみれば、急速に顔に向かって熱が集まってきているのを感じる。

今のは予行練習、...ってことで。
寝ててホントに良かったとドギマギしながら、誰に言うでもなく自分で自分を納得させる。

いつか告白するその時まで、
今日のことは秘密にしておこう。

日常の狭間
2016.07.22了
眠るきみに秘密の愛を


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