「はあーるうー」
「...............」
「ハルちゃーん」
「...............」
「...取った!」
「...おい。あとちゃん付けするな。」
遙がずっと読んでる料理本を取り上げてみた。
「璃黛ちゃんが暇です。」
「あともう少し。」
「そう言って一時間経ちます。」
「...............」
「もー!はーるー!」
「うるさい。あと抱きつくな。」
「ハルにくっ付いてたい。」
「ふざけるな」
「ぅ、わっ」
また大人しく本を読み始めたのを良いことに、好き勝手してたら珍しく遙がムキになった。
そのまま私がバランスを崩して、遙が押し倒すような形で倒れこんできたのだ。
俗に言うお約束の発生である。
「ちょ、ハル近い。」
「悪い。」
「...いいから早くどいて。」
「なんで。」
「いいから早く!」
「少し黙れ。」
「はあ?!」
「...璃黛うるさい。」
距離が近すぎて押し退けようと思った矢先、急にむにっと唇に押し付けられる感触。
突然ハルがキスをしてきた。
(え、なに?てか、え?嘘でしょ?キス?!)
脳は軽いパニック状態だ。
事の経緯が理解出来た途端に体温が急激に上昇。
チラッと遙を見れば、勝ち誇った顔をしている。
...なんかムカつく!
「無防備な璃黛が悪い。」
「はあぁ?!」
「俺が何もしないと思ったか?」
「ちょ、と!退いて!」
「いやだ。」
そう言って更にじりじりと距離を詰められる。
既に私は押し倒されてる訳で、力の差も圧倒的で逃げ場なんてとうに無い。
もがいてると、すうっと足を撫でられた。
「な?!なに、何するの?!」
「...っぷ」
「はあ?!なんで笑うの?!」
「璃黛焦ってる。」
「そりゃ焦るよ!さっきからハルなんなの!」
「本取られた仕返し。」
「た、タチ悪っ!」
「...好きだ。」
「え?!」
「璃黛、好きだ。」
「わ、私も、......すき...です......」
「、...っぷ」
「もう!なんなの!」
どうやら遙は照れたり怒ったりしてる私の反応を見て楽しんでるだけのようだ。
こっちは大人の階段を登るかと思んだから!
勘違い恥ずかしい!!
気付けば遙はまた本を読み始めていた。
なんだか良いように言いくるめられた気がする。
たまに遙はそれ無意識なの?と思うようなことを平気でやってのけるから恐ろしい。
その度こちらの心臓は爆発寸前だ。
これだから天然はタチが悪い。
(でも、そんなとこも好きなんだよなぁ。)
惚れた弱味ってやつですよね。
なんだか遙がご機嫌そうなので、仕方なく読み終わるまで大人しくしててあげようと思った。
日常の狭間
2016.03.17了
無意識のゼロセンチ