いつも一緒の幼馴染
いつもと同じ放課後
いつもと同じ帰り道
「ハル、明日楽しみだねー!」
いつも通り璃黛は楽しそうに笑った。
だけど今日は、その笑顔を見た途端にドキッと一瞬だけ心臓が跳ねた。
その為いかその夜は璃黛の笑顔がチラついたり、璃黛のことが頭から離れなくなったりして、なかなか眠ることが出来なかった。
「...あれ?開かない。」
いつものように私は真琴と家の裏口にまわる。
「お邪魔しまーす。ハルー?」
「真琴、私見てくるね。」
「じゃあ俺はここで待ってるよ。」
真琴と裏口で別れ、まず向かう先はお風呂場だ。
夜以外は水着で水風呂に浸かってるのを知ってるので、躊躇なくお風呂のドアを開ける。
...が、そこにハルの姿はない。
居間も台所も確認したが居ないっぽい。
そうなると残るはハルの部屋だ。
階段を登ってすぐの部屋をノックして開ける。
いつもは早起きなのに、珍しくまだベッドで寝ている遙の姿が目に入った。
「ハルー、おはよー。起きてー!」
「......ん、」
「真琴も待ってるよー?」
「...、ん......」
「プール行くんじゃなかったのー?」
「...、おきる。」
「寝坊なんて珍しいね。」
璃黛はそう言ってふふ、と笑った。
今日は3人でプールに行く約束をしていたが、寝付けなかったからか寝坊してしまったらしい。
今時、遠足前の小学生じゃあるまいし。
「あれ?遅いから来てみれば...ハル、まだ寝てた?なんか珍しいね。」
「ね!ハル、もしかして具合悪かったりする?」
「...よく眠れなかっただけだ。」
「はは、そんなにプール楽しみだった?」
「なんかハルらしい。じゃあお寝坊のハルちゃんに私が朝食作っててあげるから、食べて準備して早くプール行こ!」
璃黛はそう言って笑って先に下へ降りていった。
なんだか璃黛の笑顔がキラキラしてる。
それを見てまた心臓が跳ねた。
なんだこれ。
いつもと違うところなんて無いはず。
...なのに、この動悸はなんだ?不整脈か?
「...真琴。俺、なんかおかしい。」
「えぇ?!ハル、大丈夫なの?」
「さっき急に動悸が激しくなった。昨日も。」
「...ハル。それ璃黛見るとなるんじゃない?」
「...そうかもしれない。」
「...はぁ。もしかして今頃自覚したのかなぁ...」
「真琴は何か知ってるのか?」
「...ハル、それ璃黛のこと好きってことなんじゃないかな?」
「................」
ああ、なるほど。
不整脈の原因も、キラキラして見えるのも、
俺が璃黛のことを好きだったからなのか。
真琴の言葉にはびっくりしたが、それは俺の中にストンと入ってきて昨日からのモヤモヤが晴れた気がした。
「...もう、お互い無自覚にも程があるよ。」
「分かったから。真琴、うるさい。」
「璃黛も鈍感で大変だと思うけど、誰かに取られる前に自覚出来て良かったね、ハル。」
「......着替える。」
「はいはい。」
水は触れればそこから伝わるものがある。
璃黛の心にも触れられればどんなに楽か。
そんな出来もしないことを考えた。
「はーるー!まーだー?!」
下から俺を呼ぶ璃黛の声がして、複雑そうにした俺の顔を見た真琴が困ったように笑っていた。
日常の狭間
2016.03.17了
きみの心に触れさせて