「...は、なんで?」



卒業間際に突然の告白。
相手は同じ委員会で、たまに可愛がってた後輩。

別に接点が多いわけでも無い。
良くて、たまに廊下ですれ違う程度だ。

だから今一緒に居るのも不思議な感じである。

もう少しで卒業なんだと言う事実が急に現実味を帯びてきて、感傷に浸りながら校舎を見て回っていたところで、たまたま鉢合わせしただけなのだが。



...好きだなんて、そんな素振り無かった。

だから告白されてびっくりするとか嬉しいとかよりも、まず疑問が浮かんだ。

なんで私なんだろう、って。



「......理由、必要ですか?」

「竜ヶ崎くん、普通はあると思うよ。」

「...はぁ、」



目の前の彼は歯切れの悪い返事をした。

理由もないのに好きってこと?
いや、それは無いでしょ。

それよりも、なんでこのタイミング?
あまりにもイキナリすぎじゃないだろうか。

しかも、好きになったみたい?
さも今そうなったみたいな言い方したよね。



「理由があるとするなら...そうですね......実は夏休み中の練習のときに、一橋先輩が夏期講習中に僕のことを見ていたのは知っていました。」

「え、うそ?!」

「その時は別に何も思ってはいなかったのですが、」

「...じゃあ、......なんで.........?」

「僕にも分かりません。でもさっき一橋先輩の横顔を見た時に、すごく綺麗だと思いました。もっと見ていたいと思ったので、僕は一橋先輩のことが好きなんだと自覚しました。」



恥ずかし気もなくそう言ってのけた竜ヶ崎くん。
私は柄にもなく顔が勢いよく発火した。



その時のことを思い返せば、確かに見ていた。

つまらない夏期講習の時間をどうやり過ごそうか
と外に目を向けた時に、創設したばかりだという水泳部の練習する姿が見えた。

楽しそうだなぁ、なんて思って眺めていると同じ委員会に入っている後輩の姿を見つけた。

竜ヶ崎くん、水泳部だったんだ。



それからトータルで2週間あった夏期講習の時間は、水泳部が練習している姿を見て過ごした。

竜ヶ崎くんのこと、無意識に目で追ってたんだ。



「だから何だという話しなのですが。何故か今、僕は一橋先輩のこと好きになったみたいです。」



自信気の割りに困ったように笑いながらハッキリと言う彼の顔を見て、私も好きになったみたいだと思った。

私も人のこと言えないなぁ、と思わず笑ってしまった。










日常の狭間
2016.03.17了
先輩のこと好きになったみたいです


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